幻の魚”石鯛”、釣りエサ開発No.2「デカバン」前半

イシダイ、エサ開発プロジェクト秘話(桃園書房、2002 TOEN MOOK No.2掲載)
●「デカバン」前半
◆遠投釣法とガンガゼブームで「ウニだんご」に続く第2弾の号令
「イシダイ用ウニだんご」発売から約10年、イシダイの魚影が濃いといわれる九州地方でも魚がスレて、磯際の釣りでの好釣果を聞くことが少なくなってきた。当時から”幻の魚”といわれるイシダイであったが、比較的魚影が濃い九州地方での釣りは磯際で魚を浮かせて釣る”南方宙釣り”が主たるイシダイ釣りであったのだ。釣れにくくなってきたイシダイ釣りのスタイルは、磯際だけを狙った釣り方だけではなく”遠投釣法”などによる広範囲の探り釣りといった、スレた魚対応の釣り方も行われるように変化してきた。そんな中でくわせエサに”ガンガゼ”を使用した釣りでの好釣果が聞かれるようになり、”ガンガゼブーム”の幕開けとなった。しかし、”ガンガゼ”での釣りや広範囲の探り釣りには、今まで使用しているまき餌の冷凍ウニガラでは遠投できず、また比重も大きくないのでポイントの絞り込みが難しい欠点があった。そこで再び脚光を浴びたのが「イシダイ用ウニだんご」だった。九州地方を中心に「イシダイ用ウニだんご」の売り上げが、徐々にではあったが上向き加減となったのである。折しも釣りブームの終息に伴って売り上げ低迷に悩んでいた九州営業所では、この「イシダイ用ウニだんご」の上向き傾向を見逃すはずもなかった。即座に「イシダイ用ウニだんご」に続く第2弾の号令がかかったのである。
◆若手の沢田がプロジェクトメンバーに加わり、具体的に始動
新エサ開発プロジェクトメンバーに選ばれたのはあの池谷と長岡、そして戸ヶ崎。3人のエキスパートに再び白羽の矢がたった。さらに今回は、販売の中心拠点となる九州地方の責任者でもある松本とインストラクター陣営が加わり、「イシダイ用ウニだんご」のさらなるバージョンアップが任されたのである。しかし、「イシダイ用ウニだんご」開発当時と大きく違っていたのが、プロジェクトメンバーの役職であった。「イシダイ用ウニだんご」開発当時は自由に動ける身であったが、メンバー全員が各部署のまとめ役となっていたために、一つの新製品に重点を置くことができなくなっていたのである。そこで、抜擢されたのが研究開発課の若手、沢田だった。釣りが好きという理由で入社してきた沢田であったが、大学院で遺伝子を研究してきたという変わり者であった。沢田は理論立てて科学的に物事を進めていく傾向にあったが、釣りが自分の思うようにいかないということで釣りにのめり込んだらしい。やはり沢田も、イシダイ釣りのおかげでボーナスの大半がイシダイ釣りの道具になっていた一人だった。沢田がプロジェクトメンバーに加わり、「イシダイ用ウニだんご」第2弾が具体的に始動し始めた。
◆製品コンセプトを会議で入念に検討。名称は「デカバン」に決定
一般的な釣りエサの開発は「イシダイ用ウニだんご」のように釣り人などの要望、つまりはイメージ品があって、製品コンセプトを作成していく形式をとる。ある程度目標イメージが、製品開発当初よりしっかりしているのである。しかし、「イシダイ用ウニだんご」第2弾はマルキュー提案型商品となるために、あらゆる可能性を考慮して製品を完成していかなければならない。従来の製品開発方法とは少し異なって、系統立てて物事を進めていかないと作業が繁雑になり時間ばかりかかってしまい、製品化に至らないのである。特に釣りエサとしての内容を決定していく上で重要な要素は①化学的要素、②物理学的要素、③生物学的要素である。
①化学的要素…内容の成分からのアプローチであり、水分量、タンパク質量、含有アミノ酸の種類など化学的な側面。
②物理学的要素…色、形、粘り、比重といった物理学的な側面。
③生物学的要素…魚の摂餌、嗜好性など生物学(行動学)的な側面。
これらの要素を考慮に入れて新製品の内容を構築する。さらに製品を販売するうえで重要な要素である安全性や保存性、価格などの確認をして最終的に製品化されるのである。企画会議で入念に検討された結果、提案型の商品である「イシダイ用ウニだんご」第2弾の名称は「デカバン」に決定!従来の「イシダイ用ウニだんご」より強力な集魚力と即効性を重視し、「イシダイ用ウニだんご」を同レベルの価格帯でいく方向で進めていくこととなった。従来の「イシダイ用ウニだんご」でも十分な集魚力と即効性があるのだが、それ以上を要求するのは非常に困難を極めた。
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