幻の魚”石鯛”、釣りエサ開発No.2「デカバン」後半

イシダイ、エサ開発プロジェクト秘話(桃園書房、2002 TOEN MOOK No.2掲載)
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◆「オニヤドカリ」に似た有効アミノ酸パターンは2種類のエビで
次は「オニヤドカリ」だ。イシダイ釣りで使われるくわせエサの中でもっとも高価といっても過言ではない「オニヤドカリ」を原料に使うのだ。しかも、「オニヤドカリ」は大量入手困難だった。そこで「ガンガゼ」同様に「オニヤドカリ」をアミノ酸分析にかけた。「オニヤドカリ」のアミノ酸分析値を参考に、有効なアミノ酸の含んでいる原料をさがした。独特のアミノ酸パターンだった「オニヤドカリ」に似た有効なアミノ酸パターンは、2種類のエビを組み合わせることでクリアされた。しかし、「ガンガゼ」同様に「オニヤドカリ」を使っていない以上「デカバン」には「オニヤドカリ」配合の表記はできない。また、営業を説得した。最後にメイン原料候補として残った「赤貝」は食用で流通しているので、価格面をのぞいて問題は大きくはなかった。価格面の問題は、最終的に仕入れ担当者がどうにか調整してくれた。無菌室における培地テストを繰り返した結果、保存性もどうにかクリアできた。メイン原料のメドもついた。早速フィールドテスト用の試作品作りに取りかかった。プロジェクト開始から約1年半がすぎていた。
◆沢田にイシダイが釣れれば「デカバン」の効果が実証される
フィールドテストにいく前に確認することがある。試作品の作成を分析値など科学的根拠に基づいて進めているので、実際に魚が食べるかどうかを試験しなければならない。”釣り場に着いて使って、魚が寄ってこない”ではお話にならないからだ。マルキューには、このような目的のための摂餌確認用に、数種の魚たちが飼われている。もちろん海水魚も飼われている。試作品を与えて様子を見てみると、すごい勢いで食らいついてきた。これはいけそうだ。プロジェクトメンバーおよび営業との協議で「デカバン」試作品は1本化されてこととなった。「赤貝」をメインに打ち出し、「ガンガゼ」「オニヤドカリ」の効果をプラスする。これで「イシダイ用ウニだんご」以上の集魚効果と即効性を持たせることができそうである。早速フィールドテスト用に試作品の作成に取りかかった。フィールドテスト用の試作品の作成には、さほど時間もかからなかった。早速、釣り場に向かうのだが、まず社内で効果があることを確認してエサとしての販売が可能であると判断された場合に、インストラクターに最終調整および確認をとる。よって、事前の開発スタッフによる試釣が製品化に大きく影響するのである。フィールドテストに立ち会ったのは、当然沢田であった。イシダイ釣りには行っていた沢田であったが、オデコばかり食らっているマルキュースタッフの中でも、あまり釣りのうまい方ではなかった。この沢田にイシダイが釣れれば「デカバン」の効果が実証されるとの関係者の誰もが思った。桶川工場より5時間かけて伊豆半島の入間に到着、試釣を開始した。渡礁した磯は赤島だった。ポイントと思われる場所に「デカバン」をまいて第1投、竿に小刻みなアタリから大きな食い込みが続いた。早アワセ気味の沢田は待ちきれず竿を立てた。1kgほどのイシガキダイだったが、沢田にとっては1年ぶりの石物だった。その後、小型のイシガキダイではあったが3枚をゲットした。
◆連続4回オデコなし計17枚の石物は、沢田にとって初めての快挙
2回目の試釣は、入間の三根。当日は潮が動かない最悪の状況だった。それでも潮があたりそうな場所に「デカバン」を小さくちぎってまいた。前回の試釣を思い浮かべながら第1投。しかし、エサ取りのアタリもなかった。午前中は潮も動かず、エサ取りも少ない状態が続き、「今回の試釣はダメか」とあきらめ気味に昼食をとりはじめた。ところが、その瞬間、いきなり竿が海面に突き刺さった。食べているパンを吹き出しながら、磯を転げ落ちるように竿の所まで進め、あわてて竿をたてた。小気味よい竿のしなりから大物ではないことが分かっていたが、今日のようなな潮の動かないときの貴重な一枚といえる魚は、1kg強のイシガキダイだった。釣況が悪いにもかかわらず石物をゲットできたのは、オデコの常連だった沢田には信じられないことであった。その後の試釣では、イシガキダイを中心に連続4回オデコなしで計17枚の石物をゲットした。オデコ常連の沢田にとっては初めての快挙だった。そしてこの釣果は、社内スタッフ全員の大きな励みになったのである。早速、九州営業所の松本に連絡し、インストラクターにテストを頼んだ。結果は「なかなか釣れるよ」との好印象だった。形状や色などの最終調整はスムーズに進み、「デカバン」の使用方法を①通常にまいて石物を寄せる、②くわせエサを包み込んでエサ取り対策、③くわせエサの残りであるガンガゼの棘やヤドカリの足、サザエの殻などをくっつけてまきエサにできる、との確認を行って最終製品にたどりついたのだった。そしてめでたく、2002年4月に発売となったのである。
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