メジャータイトルを制し、 さらに勢いを増すトーナメンター・杉山達也。
彼の勝負強さは、常に攻めの姿勢を忘れないところに あるのかもしれない。
それは、我慢の釣りとなりがちな 冬のセットでも同じことだ。
ここでは、杉山流の 攻撃的な冬のセット釣りを見ていこう。

協力:鬼怒川大自然
冬の釣りの中心となるのは、バラケにウドン系のセット釣り。具体的には、段差の底釣り、チョーチンセット釣り、タナ1mのセット釣り、の3種類だ。
ではなぜ、冬はセットなのか。杉山は「魚は活性が下がっているため、ハリに付いているバラケを直接口にすることをせず、バラケの粒子のみを吸っているような状態。そこで、バラケの煙幕の中にハリに付いたくわせを入れ、これを食わせるのがセット釣りの考え方」と説明する。
バラケについては、基本的に魚を寄せるためのもので、必要以上にハリに付いていると、逆にムダになってしまうという。バラケの持たせ加減が重要なのだ。最近では魚が大型化し、池の中の魚の全体数が減っているため、バラケるエサをタナに長く漂わせることが釣果につながるという。
また、くわせは、最近の釣りでは、バラケが漂っているところに、長い時間ハリスを張らせた状態で置いておくのがいいそうだ。ハリスを張らせてアタリを取るのが基本なので、まずはウドンを中心
に考え、低活性でハリスがゆっくり張らないとアタリが出ないときは、より軽いくわせを使うという。具体的には、基本は「魚信」または「特選わらび彩」。食いアタリが出にくい場合、「力玉」「感嘆」等をセレクトする。また、冬の場合、両者を交互に打ち分けていくのも有効だという。
では、具体的な内容に入っていこう。まずは段差の底釣りについてだ。
段差の底釣りは、中層の魚が非常に活性が低く、底の魚のほうが活性が高いときに有効、と杉山は語る。
底にバラケの粒子を落としていき、底に着いているくわせを魚に食わせるというイメージだ。バラケを持たせていく考え方が基本で、チョーチンのセットの延長的釣りになるという。そのため、ウキはある程度バラケを背負えて、沈没しないものが必要。しかし、トップが太すぎてもアタリが出にくいので、動きが出て、なおかつバラケに耐えるウキが理想といえる。
段差の底釣りでは、底付近にいる魚にアピールするため、基本的にあまり上から開くバラケは好ましくない。下にバラケるタイプのエサを、ネバるエサとのブレンドの割合で調整していくという。杉山が段差の底釣りのバラケに使って実績をあげているのが、次のブレンドだ。

基本的に「粒戦細粒」のペレットで重さをつけ、「段底」で持たせて、「セット専用バラケ」で下にバラケさせるイメージであるという。
今回の取材で、杉山が段差の底釣りに使用した仕掛けは、次のとおり。

竿11尺(特作一天) 
道糸0.8号 ハリス上0.4号、下0.3号(上15cm、下50cm) 
ハリ上グランバリ5号、下グルテンバリ4号 
ウキ昴ファジーパフォーマー(二)[PCムク]

ハリスについてだが、長さは上15cm、下50〜60cm(厳寒期は、さらに長くなることもある)。上ハリスの長さを変えると、バラケのナジミ方の早さが変わる。長ければゆっくりナジんでいく。上ハリスが少し動かないと、アタリが持続しにくいため、浅ダナセットのように、上ハリスが極端に短いことは、この釣りではあまりない。
下ハリスはアタリが出ないときに伸ばしていく。下バリトントンからズラシていき、その過程でアタリが出なけ
れば、下ハリスを長くして、もう1回トントンにしてズラしていく。
逆に下ハリスを詰めるのは、ウキが動き過ぎるとき。バラケを調整しても動きが納まらないときは詰めていく。しかし、冬の釣りなので、基本は伸ばしていく方向になるということだ。
底釣りに欠かせないタナ取りだが、段差の底釣りの場合、下バリにタナ取りゴム、ウキにフロートを付け、穂先の若干先のエサ打ち点のタナを測る。
まず、ウキ先端の目盛りで底が取れたのを確認したら、目印をその目盛りの位置までズラし、次にウキのエサ落ち目盛りを目印に合わせる。これで下バリトントンのイメージでタナがとれたことになる。
段差の底釣りでは、バラケの大きさはひとさし指の頭ぐらい。エサの配合的に、圧を強くかければしっかり持つようになっている。打ち始めはだいたいウキの先端ぐらいまでナジんで、そこから少し早めに上がってくるエサでスタートする。また、エサを切るときは、バラケの舞い上がりを防ぐために、バラケが落ちてからか、ウキが少しでも上がってきてからがよいという。


釣りのリズムとして誘いがある、と杉山は語る。具体的には、ウキが上がっていく途中に、下ハリスを張らせてアタリを探るイメージでの誘いと、バラケが抜けてからの、下ハリスをもう一度たるませる誘いがある。
ハリスを張らせる誘いは、何らかの理由によってできるハリスのたるみによって出ないアタリを、竿を動かすことでハリスを張らせ、アタリを
もらうというもの。
くわせを動かす誘いは、タテ誘いなど、もう一度ハリスをゆるめようとする誘い。オモリを動かさないとハリスがゆるまないため、必然的に強くなるという。
このように、それぞれの誘いを使い分け、できるだけアタリを出すことが、厳寒期では好釣果につながるそうだ。
段差の底釣りのアタリの取り方だが、バラケが付いている状態からの、ウキが上がり際の明確なアタリというのが理想的で、基本はこれを取っていくようにする。
また、杉山は、まだバラケが付いていても、ナジんだウキが少しでも返ってきてからの強いアタリは、積極的に取っていく。最近の釣り場は、基本的に魚が多くないため、同じアタリが続かない。ときには早いアタリや、遅いアタリも取っていかないと、ダントツの釣果は狙えないためだ。
一方で、早いアタリを取ると魚が上がり、タナがボケてしまうことにもなりかねない。そこで杉
山は、早いアタリを取った次のエサ打ちでは、意識的にエサをていねいに丸めて、バラケ性を抑え、魚を落ち着かせることに気を配っているという。このようにして、時に早いアタリも取りながら、魚を寄せつつ釣るのが、段差の底釣りの理想の形ということだ。
バラケはエサボウルに小出しにしながら、調整して使っていく。エサの性質上、どうしてもネバリが出るのは避けられないため、ウキがナジミ切って上がらなくなるというケースもある。こうなったら、手水でエサをちょっと軟らかくしてから「セット専用バラケ」を足して、バラケ性を高める。逆に、もう少しエサを持たせたいというときは、手水で少し強めに混ぜてから「段底」を足して、エサ持ちを高めるという。
最初にも述べたように、バラケは基本的に魚を寄せるためで、必要以上に持つと釣りが難しくなる。基本はあまりしっかり付けず、タナまで持って崩れてくれる感じを心掛ける。
エサの大きさも、大きいエサを打てば魚が集まるという感じではなく、アタリが続く最小限のサイズのエサを付けたほうが、釣りが組み立てやすい。
そして、エサの付け方だが、打ち始めのエサは角張らせた感じにする。そして、ウキが動き過ぎる場合はまん丸く付けるようにする。必ず注
意するのは、バラケをタナに届けることで、ナジミ幅を一定に出すように心掛ける。あまり深ナジミしてもダメだし、浅ナジミでも釣りが組み立てにくいという。基本は、ある程度トップ先端ぐらいまでナジませてから、ゆっくりと上がってくるというもの。この動きをベースにして、そのナジミ方や上がり方のスピードを調整し、アタリが多く出る状況を見極めていくという。
ここからはチョーチンのセット釣りについて説明していこう。
冬だと、どうしても季節風が吹いたりして、浅いタナだと釣りきれない場合もある。このような状況なら、杉山はチョーチンのセットに移行する、という。
バラケを持たせた状態で待てることもチョーチン釣りのメリット。激シブの状況では、この釣り方が最強になるという。また、竿の長さで魚のいやすいタナを見つけて、そこをじっくり釣ると、寒い時期は釣果が上向きやすい、と杉山は語る。そして、チョーチンの釣りでは、通常、パイプトップのウキを使い、しっかりナジませてからのアタリを取る、という。
チョーチンセットのバラケは、タナが深いので、あまり上からバラケてしまうエサだと、活性の低いへら鮒をただウワズらせてしまい、アタリやサワリすら出さなくなってしまう、という。しかし、タナが深いからといって重いエサばかりだと、上から魚を寄せることができず、アタリが少なくなる傾向にある。そのため、しっかりハリ付けすれば重くでき、甘くハリ付けすれば軽くできるようなエサが一番向いている、と杉山は語る。具体的には、次のエサである。












上記の組み合わせで、軽くもできるし重くもできる自在性のあるエサに仕上がる。「パワー・X」の粗い麩が入っているので、ラフ付けすると軽くなる。エアを抜くと「段底」と「パウダーベイトスーパーセット」が入っているので、しまったしっかりとしたエサになる。
このチョーチンのバラケは、軽く丸めるだけだと水面に浮くが、圧をつけると沈むエサになる。このように自在性のあるエサを圧で調整していくほうが、粉を足していったりするよりも、釣り的には簡単ということだ。
エサ付けは、親指の頭ぐらいで、ハリ付け時の圧を調整しながら釣っていく。
ところで、エサがなぜボソかというと、最初にも述べたように、基本的にバラケは魚を寄せるときは必要だが、食わせるときには邪魔になる。練ったエサは持つエサになってしまうので、持たす必要がないこの釣りでは、ボソがいいということになる。ボソで崩れていくエサを、まとめたりラフ付けして、基本的に落ちることを前提にエサ作りをする、というのが杉山の持論だ。
そして、打ち始めは必ずウキを沈没するぐらいまでナジませ、そのあとは誘いで強制的にバラケを開かせて、ウキが上がってきたらエサを切る流れがいいということだ。
チョーチンセットでは、基本はウキを深くナジませて、ハリスを張らせながらバラケが抜けてくる途中のアタリをとっていくと釣りやすい。また、あまり好ましくはないが、ウケてナジんですぐのアタリも取っていくという。バラケを落としてずっと待つことは、ほとんどしない。これは、すぐにウキが動くときは待ってもいいが、魚を呼びながら釣るときは、ウキが上がるときのアタリをアワセていくほうが持続性はあるからだ。
そして、ウキが上がってくるときのアタリで魚が乗りづらいときは、ハリスを短くしたり、くわせを変えたりして対応するという。
また、エサは、魚がウワズリ気味で、開きを抑えたいときは「パウダーベイトスーパーセット」
を足していく。アタリが出ない場合は、魚を下に向かせる意味で「粒戦」を追い足す。取材時は、いずれの場合も、手水を足しながら、少量ずつエサを加え、エサの硬さをあまり変えないようにするのがよかったという。
今回、杉山がチョーチンセットに使った仕掛けは、次のとおり。

竿8尺(朱紋峰 嵐馬) 
道糸0.8号 ハリス上0.4号、下0.35号(上10cm、下50cm) 
ハリ上グランバリ6号、下グルテンバリ4号 
ウキ昴ディーププロパー(一)[パイプ]→昴ファジーパフォーマー(一)[PCムク]

ウキは通常パイプトップを使い、しっかりナジませてからのアタリを取るが、今回の取材では、ウキの上がりが強いとアタリが出にくかったので、ムクトップにしてウキの上がりをゆっくりにしたところ、アタリがもらえるようになったという。
ハリスの調整方法は、ウキの上がり際にアタリが少ない場合は5cm刻みで長く、ウキの上がり際とナジミ際にサワリが強く出過ぎる場合は5cm短く調整する。
では、最後に浅ダナセットについて解説してもらおう。
杉山は、最近の浅ダナセットの傾向を「以前のようにバラケを切ってからではなく、バラケが耐えた状態でアタリを出すことが、一番肝心なポイント」と語る。
そのため、ウキはバラケを持たせても沈没しない太めのトップで、オモリ負荷が多めのものを使い、バラケ性の強いエサを持たせた状態で、下バリスの長さを調整しながら食いアタリを出していく、という。
くわせも、魚に揉まれたりするので「魚信」のようなねばりが強くハリ持ちのよいエサを大きめに付け、下ハリスを張らせて釣っていく。
そして、いよいよ厳寒期になり、魚の活性が一段と低くなったら、ウキを小さくしたり、バラケ性を抑えたエサで、ウキをしっかり入れながら釣っていくのがポイントだという。
杉山が浅ダナセットのバラケに使い、最近実績をあげているのは、下記のブレンドだ。












※この基エサを半分に分け、打ち始めはさらに「天々」を100cc加えて使う。釣っていて、エサを抜かせた状態がいいときは、最後に加える「天々」100ccを、「セット専用バラケ」100ccに変更する。
それぞれのエサの役割としては、「粒戦」はペレットで下にバラケるエサ、「パウダーベイトスーパーセット」はそれをタナに長く持たせるためのつなぎ役、「パワー・X」は魚を寄せるための集魚力、「天々」はバラケ性を強くし過ぎない、膨らむような開きをイメージしている。
先にも述べたように、最近の浅ダナは、以前のようにバラケを切ってからでなく、バラケ性の強いエサを、タナに長く持たせた状態でアタリを取ることがポイントとなっている。このため、エサ付けの大きさは、通常はひとさし指の頭大。太めのトップのウキを使うときは、親指の頭大。いずれも、深くウキをナジませて、そこからのアタリを取っていくようにするという。
今回、浅ダナセットの釣りに、杉山は次のタックルを使用した。

竿8尺(特作一天) 
道糸0.6号 ハリス上0.4号、下0.3号(上6cm、下30cm) 
ハリ上セットバリ5号、下グルテンバリ4号 
ウキ昴トップアトラクター(二)[パイプ]、昴プロトタイプ(五)[パイプ]

ウキについては、早くナジませてゆっくり上がらせるような動きを出す場合は、足の長い形状のものを選ぶ。ただ、トップは若干太めのものがいい。逆に上から魚を呼び込んで、エサをタナにとめた状態を長くつくりたいときは、ナジミがゆっくりな、足の短い太いトップのものを使う。
冬であれば、まずは軽いくわせも使える足長のウキで様子を見る。そして、魚の寄りが強いようであれば、
足の短い太いウキにして、大きいバラケを打って、エサをぶら下げて釣っていく。
バラケの大きさは、太いトップのウキを使う場合、親指の頭ぐらい。そしてエサをタナに長く残すようにする。くわせに軽いエサを使い、開かないバラケを使う場合は、ひとさし指の頭ぐらい。ウキを先端までナジませて、そこからゆっくりと上がってくる(チョーチン釣りをイメージさせるような)タナをつくる釣りになる。
ウワズリの修正については、どんな釣りでも共通だが、上での開きを抑えて、バラケを入れるという意味でエサ付けはていねいに丸める。これは小エサのときも同じだ。
くわせのウドンについては、本当に大きいものだと、ハリが隠れるぐらい。厳寒期だとあまり大きくはしないという。
基本的にウキは深くナジませる。冬なので、上がり際の動きを大事にする。バラケがなくなってからのアタリを待つより、ウキが上がってくる途中で誘いをかけ、アタリを出すほうが釣果は伸びるという。


エサがタナに入るまでのウキの動きが多いときは、バラケエサに「セット専用バラケ」を足して、下にバラケるエサにする。手水でやわらかくしたエサに「セット専用バラケ」を加えていくといい。これによりウキが下に入りやすくなり、強いアタリに焦点を絞りやすくなる。ウキが上がっていく途中でアタリが出るようになれば、もう釣れる状態になっている、と杉山は語る。
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