稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第89回 岡田 清の浅ダナヒゲトロセット釣り|へら鮒天国

管理釣り場・野釣り場の、最新釣果情報が満載!「へら鮒天国」

稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第89回 岡田 清の浅ダナヒゲトロセット釣り

ヒゲトロセット釣りは誰もが認める盛期の必釣法。食いが良いときは両ダンゴを凌駕し、また突然の食い渋りに見舞われてもアタリをだすことができるといった強みを持つ。当然ながら多くのアングラーが手の内に入れている釣り方だが、これほど絶大なる支持を得ている背景には、ひとつにそのアプローチの明確さと容易さが挙げられるであろう。ウドン系固形物をくわせにしたセット釣りのように、バラケを抜いたり持たせたりといった難しい調整の必要はなく、基本的にはバラケを上バリに抱えさせたままアタらせる「接近戦」を旨とする。しかし調整幅が狭い(少ない)というメリットが逆にデメリットとなるケースも稀にある。そうしたレアケースともいえる難時合いの釣りに、ひとつの明確な答えを持つアングラーがいる。ご存じマルキユーインストラクター岡田 清だ。自身サンデーアングラーである彼は、誰もが悩む混雑時の難しい時合いと常に対峙し続けており、今回もまた悩めるアングラーに救いの手を差し伸べてくれた。それが「GD」をブレンドしたバラケを持たせ、巧みにタナで膨らませる浅ダナヒゲトロセット釣りだ!

両ダンゴだけじゃない「GD」活用法。難時合いのヒゲトロセットでも好感触!

まずは「バラケマッハ」主体の軽めのバラケを用い、この日のへら鮒のコンディションを自ら確認した岡田。しかし、ひと通り試してみて得意の攻撃型アプローチが通用しないことを確認すると、アプローチの変更を宣言し準備を始めた。実は今回の「釣技最前線」は岡田が最も得意とする軽く開くバラケを用いた攻撃型の浅ダナヒゲトロセット釣りで、有無を言わせぬ爆釣シーンをお届けしようと目論んだのだが、そうした思いとは裏腹に、梅雨特有の不安定な天候が実釣フィールドとなった富里乃堰のへら鮒の食い気に悪影響を及ぼしたようで、思うようにウキは動いてくれなかった。それでも岡田は気にする素振りも見せず、むしろ食い渋りは当たり前といった表情で、

「ズバズバと早いアタリで釣り込む格好良いところを見て頂きたかったのですが…どうやら今日のへら鮒はご機嫌斜めのようです。これもへら鮒釣りですので仕方ありませんが、入れ食いシーンは次回のお楽しみとして、それならそれで別の手がありますのでそれを見て頂きましょう!」

アプローチが変われば当然ながらバラケもそれ用に合わせて作り替えなければならないはずだが、岡田の傍らにブレンド用として準備された麩材のなかに新エサ「GD」があることに記者の目が釘付けとなった。もはやヒゲトロセット釣りを諦め、両ダンゴに切り替えるというのだろうか?

「釣り方はもちろん浅ダナヒゲトロセット釣りですよ。ただしバラケを開かせずにタナまで入れてからアタらせる、いうなれば『持たせバラケのヒゲトロセット釣り』ですね。釣り方としては地味なイメージですが、アタリ自体は遅くても確実にアタリ数は増えますし、へら鮒の食いの善し悪しに合わせて釣り方を変えるというへら鮒釣りの基本に則って考えれば、今日のようなケースではアプローチの変更は至極当然のことでしょう。食いが良ければ開くバラケでアグレッシブに攻めるのがセオリーですが、渋れば開きを抑えたバラケで〝地味〟に攻める方が良いですよね。それには『GD』がマッチするんじゃないかと…。」

瞬時にこうした判断ができたのには訳がある。後にバラケとして「GD」をブレンドしたのはこの日が初めてだと言った岡田だが、「GD」自体は既に使い込んでおり、他のメディア取材で両ダンゴ釣りを披露している。従って持って膨らむというエサの特性を熟知しており、それが取材時の時合いにマッチすると気づいたらしい。果たしてその結果やいかに、早速その釣りを見てみよう。

 

使用タックル

●サオ
シマノ朱紋峰 「嵐月 」10.5尺

●ミチイト
オーナーばり「白の道糸」 0.8号

●ハリス
オーナーばりザイトSABAKIへらハリス 上=0.6号-10cm、下=0.5号-18cm

●ハリ
上=オーナー「バラサ」6号、下=オーナー「とろ掛」4号

●ウキ
一志「パイプスラント」四番 【1.4-0.8mm径テーパーパイプトップ11.0cm/6.0mm径一本取り羽根ボディ6.0cm/1.0mm径カーボン足7.0cm/オモリ負荷量0.7g/エサ落ち目盛りは全9目盛り中6目盛り半出し】

●ウキゴム
オーナーばり「強力一体ウキベスト」

●ウキ止め
オーナーばり「スーパーストッパー」1.5号S

●オモリ
ウレタンチューブ装着板オモリ1点巻き

●ジョイント
オーナーばり「Wサルカン(ダルマ型)」

浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ 其の一:食いの善し悪しに応じてアプローチを使い分ける

岡田にとっては不本意であったかもしれないが、奇しくも今回の取材では「GD」の新たな可能性を見出すことができた。スタート時点では彼にとってのスタンダードなアプローチである「バラケマッハ」を主体とした開くバラケで、グラスムクトップウキを使い上層から追わせながら早い食いアタリをだすべく臨んだのだが、へら鮒が十分に寄った段階になってもアタリがでにくく、とても盛期の釣りとはいえないような緩慢なウキの動きしか見られなかった。しかし直近の釣況を知人から聞いていた岡田は、こうした状況になることをある程度予測していたようで、「やはり攻めの釣りは無理なようですね」とつぶやくと、躊躇することなくアプローチの変更に着手した。

このとき前述のバラケに作り替えているのだが、その前に釣り方の指針である「バラケを持たせて釣るアプローチ」に適したパイプトップウキ(攻めのアプローチではプロトタイプのグラスムクトップウキを使用)に交換し、さらに摂餌を刺激する目的でハリスを上下2cm伸ばしてリスタート。すると再開すぐにアタリがで始め、それまでとは明らかにへら鮒の反応が良くなったことが感じられた。しかし岡田が目指すウキの動きには程遠く、またスレやカラツンが思いのほか多かったことから、同じパイプトップウキでのサイズダウンを図り、さらにハリスを元の長さに戻した。そして以降は何も変えることなく難しい時合いを乗り越え、釣況を好転させたのである。

「食いが良いときは開くバラケを使った攻めのアプローチが有効で、このときは長めのグラスムクトップウキでエサが動いている間(トップの付根から先端までのストロークの範囲内)の早いアタリを狙います。一方食いが良くないときはエサの動きを止めて食わせることに適したパイプトップウキで、開きを抑えたバラケをタナまでナジませてから開かせる(膨らませる)アプローチに変えることによって、エサ追いの鈍いへら鮒にもアタリをださせることが可能になるのです。つまりどんなに釣況に適したバラケでも、その目的にマッチするウキを軸としたタックルセッティングにしないと、その効果は半減どころかまったく役に立たないことがあるのです。」

エサ追いが良いときは上バリのバラケを食うことの方が多くなると岡田は言うが、水面近くにへら鮒の魚影がチラチラ見え始めたときに、時折ウキがナジミきる前の早いアタリでバラケを食うことはあっても、それ以外のアタリのほとんどは下バリのトロロにハリ掛かりしていたことが印象的であった。つまり、取材時はそれだけエサ追いが良くなかったということだが、アプローチをひとつだけしか知らないとまったく釣りをさせてもらえなかった可能性も否定できず、改めて岡田の引き出しの豊かさを思い知らされた。

浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ 其の二:持たせるだけではなく〝膨らみ〟が加わった「GD」ブレンドバラケ

へら鮒釣りではトータルバランスが重要だといわれる。特にアプローチに合わせたタックルの選定。取り分けウキは重要なアイテムであり、釣り方の狙いや方向性を決定づける重要な要素となる。今回の取材がまさにその好事例で、その効果の程は動画を見て頂ければ十分伝わるであろう。しかしあえて言わせてもらうならば、今回の殊勲賞は紛れもなく「GD」ブレンドのバラケであろう。改めていうまでもないが、セット釣りではバラケの良否が釣果を大きく左右する。今回の取材ではそれが如実に表れた結果となったが、単に「GD」を加えれば良いという訳ではなく、岡田ならではの緻密な戦略が施されていたことを忘れてはならない。

「たしかに『GD』は私の狙いを達成してくれました。しかし一歩間違えばまったく逆の結果に終わった可能性も否定できないのです。それに気づいたのは最初の1ボウル目のエサで、ブレンドこそ同じだったのですが、水量が少なかったため基エサは硬めに仕上がりました。それを手水と押し練りでタッチの微調整を行ったのですが、今日は思いのほか接点が狭く、硬過ぎたりネバリが強過ぎるとカラツンになる確率が高く、軟らかすぎるとウキのナジミ際に止められたり、ウキの戻しが早くアタリにつながらないケースが目立ちました。そこで、できるだけ調整を行わず最適タッチを得るために最適な水量を探り当て、手揉み加減とサイズだけでエサ付けを調整すると良い感じのウキの動きになったのですが、これこそ『GD』効果の賜と実感しましたね。」

さらに「GD」以外の麩材にも着目したい。ここではあえて「GD」の欠点と言わせてもらうが、グルテン含有麩材の特徴でもある膨らみの良さが、ときにエサ持ちの悪さと感じてしまう点である。ヒゲトロセットの釣りではバラケが抜けてしまうとほぼ食いアタリは期待できない。従ってエサ持ちは「キモ中のキモ」ともいえる最重要課題だ。この欠点を補うための大切な役割を担うのが「ガッテン」であり、さらにダンゴタッチでありながらバラケとしての集魚力を担う「凄麩」のフレキシブルな特性が加わり、今回の好結果につながったものと記者は見ている。

浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ 其の三:アタリのでるタイミングに注目!

「GD」を主役とした両ダンゴの釣りの取材時にも気づいていたことであるが、今回の浅ダナヒゲトロセット釣りでも似た点がみられた。それがアタリのでるタイミングの違いである。たとえ食いが渋くても、ヒゲトロセット釣りの食いアタリは総じて早めにでるのが特徴で極論すれば両ダンゴ同様にウキがナジミきり、エサの動きが完全に止まってしまったら勝負は負けと言って良い。しかし「GD」をブレンドしたバラケでは、さらにワンテンポ遅れてもヒットチャンスが残されており、ナジミきって静止したトップがややあってフワリと煽られると、その直後にドスンと消し込むアタリがよくでていた。

「従来のバラケエサでは、あのアタリは期待できません。まるでバラケに食いつくことをためらっていたへら鮒が、タナで膨らむバラケに刺激されて反応する動きであり、明らかに『GD』効果といえるアタリですね。ただし待ち過ぎは禁物です。あくまでナジミきった直後までがヒットチャンスであり、それ以降はサワリ(アオリ)がなければ早めに打ち返し、気配があればトップが2~3目盛り戻すまでは待つといった感じで臨むと良いでしょう。」

記者の目【新エサ「GD」の可能性】

注目すべきポイントは、なんといっても「GD」をバラケとして活用した点であろう。知っての通りヒゲトロセット釣りのバラケは両ダンゴのタッチに酷似しており、ダンゴエサそのものをバラケとしても十分通用することも多い。従って「GD」を使うことは当然といえば当然のことかもしれないが、両ダンゴの釣りをより簡単かつ快適に楽しめるようにと開発した新エサを、発売間もないこの時点でバラケとして活用しようなどと考えるアングラーは決して多くはないだろう。先入観を抱くことなく生かせるものは何でも受け入れるという柔軟な姿勢でへら鮒と対峙している岡田らしい発想だが、記者は今回の取材で「GD」の大いなる可能性を岡田に見せてもらったような気がする。いかに名手とはいえ、またどんなに煮詰めたセッティングで臨んだとしても、初めてのバラケでこれだけの釣りができたのは、やはり「GD」の優れた特性あってのことであろう。特に軟らかめのバラケが良いと分かった時点で水量を多めにしたタッチで基エサが決まると、その後はほとんど手を加えずともコンスタントにアタリが続いたことは、タナで膨らむことで集魚力を発揮していることの裏付けであり、岡田が重要なポイントだというトロロへの麩のまとわりつきが確実に果たされていることを示している確かな証であろう。間もなく盛期の釣りの本番を迎えるが、新エサ「GD」からますます目が離せなくなった。