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![]() 初回ということもあり、図々しくも取材スタッフは今年度全国大会決勝のステージ『へら学の森泉園』でのプラクティスに臨むという萩野に密着。リアルな実釣を通して明かされる、メジャー大会に臨むための試釣のやり方や心構え等のメンタル面に至るまで、未来のトーナメンターを目指す貴方のために参考になる手引きを紹介する。 |
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![]() さて、まずは萩野が考える試釣とはどのようなものであろうか。一般的にはどのような釣り方が最も釣れるのか、自分の釣りがどの程度決まるのかを中心に、エサのブレンドは?タッチは?タックルセッティングは?と色々と試しながらベストの釣り方を煮詰めていくものだが、萩野の試釣は些か考え方が異なるようだ。確かに釣り場の状況を探り、よりベターな釣り方を模索する場であるには変わりはないが、試釣は自分ができない釣りを試す場。言い換えればライバルである他のトーナメンターの釣りを真似て、自分の釣りに吸収する場と捉えているようだ。 聞きようによってはかなり余裕のある言葉に聞こえてしまうが、真実を知れば知るほど彼のフトコロの深さ、大きさを感じずにはいられない。彼の言葉を借りるならば、自分の釣りは黙っていてもできるのは当たり前で、もし試釣の際に自分よりも釣れる釣り方をしている参加者がいれば「モノマネ」でも良いからとりあえず真似してみて、もしそれが自分のものになれば実戦での強力な武器になると同時に、メンタル面でもかなりのアドバンテージになるという。事実そうした状況で吸収した釣り方で本番に臨み、好成績を残した例は数知れないという。 なんという貪欲さ、なんという探究心。彼ほどの技術レベルのアングラーがこうした考えの下日々精進し進化して行くことを思うと、生半可な努力では到底太刀打ちできないことは明らかだ。しかし読者諸兄が僅かでもレベルアップし、一歩でも彼に近づこうと思うのであれば、彼の考え方や取り組む姿勢は大いに参考になるに違いない。 |
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今回の試釣で萩野は先ず短ザオでのチョーチンウドンセット釣りを選択した。これは取材スタッフからのリクエストもあったが、現在の泉園で最も手堅い釣り方であり、彼自身先ずは本命と目される釣り方でどれくらい釣れるものかを確かめておきたかったからに他ならない。準備が整い実釣スタートしたのが午前7時20分。以降彼の釣りを時系列で追ってみよう。 | ||||||
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![]() さて少々話は横道にそれてしまったが、もちろん萩野自身はこの釣り方に磨きを掛け、既に自分のスタイルも確立している。その証拠に自身が手掛けるへらウキ『一志』の今秋の新製品として、今回の試釣でも使用した短ザオチョーチンセット用の『アドバンテージ』が発売される。バリエーションは同一のボディに異なるトップ(パイプとPCムク)が装着された2タイプ。もちろん縦サソイを効果的に活かすポテンシャルを秘めたハイスペックフロートであり、濃いオレンジ色のボディカラーはその名のとおり装着するだけで優位に立てそうな、そんなワクワクするような気にさせてくれるなる新製品だ。 その新ウキ『アドバンテージ』を使った縦サソイだが、闇雲にただ縦に動かしても釣れるハズもなく、そこには萩野流のサソイ方の法則があるので以下を参考にされたい。 |
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基本的にはこの繰り返しとなるが、重要なのはサソイを入れるタイミングもさることながら、本来はサソイを入れなくてもナジミながらのサワリに連動して、トップが沈没する間もなく深ナジミした状態から「ズバッ」とアタること。萩野はこのタイミングを「ハリスの倒れ込み」と表現するが、こうしたアタリが多く出るようになればチョーチンウドンセットは時合い完成に近いといえる。しかし現実はこうした理想的なアタリばかりではない。取材時もかなりの食い渋り状態であり、萩野はチェンジ オブ ペースで縦サソイを繰り返しながら、サオ先を軽くあおった後の再度のなじみ際に「ダッ」と決めるアタリを導き出していた。 ここで注目しなければならない点がある。それはいずれのアタリパターンであってもバラケが十分に残っている状態で食わせるということ。試しにと言って、バラケが抜けた後ウドンだけでアタリを待ってもらったところ明確な食いアタリはほとんど出ることはなく、萩野自身様子見で待つことはあっても、たいていはバラケが残った状態で食わせることを目指しているという。このことからチョーチンウドンセットでは常にクワセの位置よりも上からバラケの粒子を降り被らせることが重要であることが分かる。 厳寒期であってもバラケの粒子が長時間タナに滞留し続けることはなく、たいていは寄っているへら鮒に吸われてしまうか、下層に沈下して行ってしまう。セット釣りでアタリを出せないでいる釣り人の多くがこのことを見落としており、クワセだけで待っていてもアタリは出るものだと考えている。確かに待っていてもアタリが出ることはあるが、冷静に観察してみるとアタリの数は圧倒的に少ないうえにヒット率も低いことが分かる。やはり一投ごとのバラケの粒子の降り掛かりがキモになっているのである。 |
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![]() ブレンドされた麩材の性質を見てみると『粒戦』は集魚力とタナの安定、さらには寄ったへら鮒をクワセへと誘導するための素材であり、『とろスイミー』は高比重な性質とネバリで他の麩材のつなぎ役を果たす。『パワー・X』は最強バラケの代表格で、『プ ログラム』はボソタッチでありながらまとまりが良い性質を見込んでのブレンド。『セット専用バラケ』はウドンセットのバラケには欠かせないベースエサで、『BBフラッシュ』はその特異なネバリでボソタッチのまますべての素材をまとめる。そしてこの中で最も重要な役割を担っているのが『プログラム』だ。本来は両ダンゴのベースエサとして世に送り出された麩材だが、ネバリをほとんど感じないサラッとした感触でありながら指圧だけで簡単にエサをもたせられるという、他の麩エサとは一線を画する特異な性質が近年のチョーチンバラケには不可欠だという。 ![]() 当日萩野のエサ使いを見ていると、多少手水で基エサをシットリさせることはあっても、終日ボソエサを打ち切っていた。基本的には基エサを大きく変化させることなくカタボソタッチを軸にしたうえで、ウキやハリスワークといったタックルのアジャスティングでその日そのときの正解に導いていくというのがこの釣り方の基本であり、萩野流もそうした視点で組み立てられることを改めて知らされた。 |
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