へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第2回 新ベラ数釣りテクニック 戸張 誠の両グルテン底釣り


  新ベラ釣りは秋の風物詩。全国各地の釣り場では今まさにその新ベラ放流が盛んに行われ、年に一度のビッグチャンスに湧き上がっている。
ハリの怖さを知らない無垢な新ベラを釣ることはさして難しいことではない。しかし新ベラ特有の釣り方を知らないとコンスタントに釣ることはできず、釣れるペースに大きな穴が開くなどムラが生じることがある。そこで今回の釣技最前線では旬の新ベラ釣りを楽しく、そして大釣りのチャンスを確実にモノにする術を、底釣りのスペシャリスト戸張 誠に実釣・解説してもらう。 新ベラの数釣りはタイミングが命。各釣り場の放流日程をリサーチした結果、数日前に埼玉県加須市の大型管理釣り場『加須吉沼』で放流があったとの情報を得て急ぎ取材に向かった。
 
     
自身愛好会に籍を置く加須吉沼は、戸張にとっては通い慣れた釣り場のひとつ。当然ポイントも隅から隅まで熟知しており、放流された新ベラの動向も手に取るように分かっている。特に今回は下見も済ませてあったため、日に日に着き場を変える新ベラの動きを先読みして、先日絶好調であったという浅場(南桟橋の水深2〜3mライン)ではなくやや深場に続くカケアガリのポイント(さくら桟橋入口付近の4〜5mライン)に釣り座を構えた。ここで改めて新ベラ釣りの基本的な心構えについて戸張流の考え方をまとめてみよう。
■エサ使い
放流直後では両グルテンが釣りやすい。知ってのとおり新ベラは素直で食い気があるので、一旦寄ってしまえば比較的簡単に釣れ続くという特徴がある。新ベラを安定的に釣り続けるためには寄せながら釣り込むことと、寄った新ベラをウワズらせないことが重要。このふたつの課題を同時にクリアーするために『ペレットグルテン』をベースにしたエサ使いが効果的。
■タナ設定
両グルテンの底釣りの場合、上バリトントンになるタナを決めたらそこから約5cmズラしたタナで始めるのが戸張流。平坦な底なんてほとんど無いものと割り切り、1〜2cmのタナのズレに神経質になるのではなく、理想的なサワリがでてアタリにつながるタナを探すことに注力する。5cmという基準は過去の経験から導きだされた数値であり、底の状態によってはタナを変えずにエサ打ちポイントを意識的にズラすことで、アタリがでやすいところを探ることも少なくない。特にダム湖や山上湖においては、戸張が当たり前のようにやっていることだ。
■アタリの取り方
釣れ始めは底釣りの典型的なアタリ(エサ落ち付近まで戻してからの「ツン」)で乗ることが多いが、新ベラの寄りが増すに従いナジミ際の早いタイミングでアタるようになる。これを無理に抑えるのではなく、ウワズリと紙一重の早いタイミングで食わせるのが戸張スタイル。慣れないと何処で合わせて良いか分かり難いかも知れないが、基本的なアタリパターンを別項にイラストで紹介してあるので参考にして欲しい。新ベラ釣りの理想のアタリは『ウキが戻してエサ落ち目盛りまで待ってのツン』ではなく『戻した直後のツン』。食いが良ければ『ナジミながらのツン』で連チャンが決まり、こうした時合いであれば未体験の爆釣ができるチャンスが拡大する。
 
   
 
   


   
  両グルテンの底釣りにおけるタックルセッティングのポイントについて、戸張はサオの長さ・ハリスの長さ・ウキのタイプについて以下の点に注意すべきとアドバイスする。  
 
■サオ
サオは機種とか調子とかではなく、重要なのはその長さ。使用するサオの長さ一杯で底が取れるものを選ぶことで、正確な底ダテやエサ打ちポイントの微調整が容易にできるようになる。理想は穂先からウキ止めゴム迄の間隔に約ウキ一本分程度の余裕があること。これよりも長くなると底ダテが難しくなるし、短過ぎるとウキの動きをサオ先で干渉したり穂先でウキを叩いて破損させたりする恐れがあるので要注意!
 
■ハリス
ハリスは長さがキモ。アタリがコンスタントにでているときには短い方が無駄なウキの動きが消え、食いアタリが絞りやすくなるので釣りやすい。カラツンが多いときにハリスを詰める人が多いが、両グルテンの場合本来の食いアタリを狙いやすくするために短くする。

■ウキ
底釣りに適した専用タイプのウキを使うのがセオリー。
戸張は『忠相e`K-maxBTM (ケーマックスボトム)』を愛用。このウキは細めで短いパイプトップを装着しており、アタリに切れがある(小さくてもスピード感のある鋭いアタリがでる)のが特徴。波立った水面でもアタリが取りやすく、ストロークに頼らないパイプトップウキはへら鮒のタナを圧縮させて釣り込める効果も期待できる。戸張は概ねトップ2〜3目盛りの範囲でアタリを取っている(※同時にへら鮒を寄せるタナを底近くに凝縮)ので、ウワズったとしても大したウワズリにはならないという。
 
すべての支度が整いエサ打ちを開始したのが午前8時過ぎ。スタート時のタナ設定は上バリトントンから約5cmズラした共ズラシ。一投目からジャミ(クチボソの類)が小刻みにウキを動かすが、ナジミ幅を確認した時点で打ち返す。グルテンはジャミの攻撃を受けやすいが、へら鮒が寄ってしまえばまったく気にならないという。15分程でへら鮒の気配がウキに表れ、間もなくきれいなアタリでファーストヒット。その後10分間で難なく3枚を釣り上げたが本人は納得の表情を見せない。むしろ違和感を覚えるという。それはアタリのでるタイミングの遅さ。釣れるのはいずれも新ベラだが、アタリに連動性が無いことから寄った群れはそれ程大きくないと感じているらしい。その言葉が裏付けるように、その後の釣況はポツリポツリの展開に… 
ペースを上げるべく色々と手を尽くしたが時間10枚が壁となって立ちはだかる。そこで思い切って釣り座移動を決意。周囲では比較的深場のサオの立ちが良いことから、更に水深のあるポイント(中央桟橋奥5〜6mライン)で18尺一杯のタナでリスタートすると、戸張の読みはズバリ的中することになる。すぐに1枚目を釣り上げると、その後は彼のイメージする早いタイミングでのサワリ・アタリが持続し、エサを打つほどにペースアップ。途中ややアタリが不安定になりかけた時、タナの微調整とアタリの取り方にメリハリをつけることで好時合いを維持。後半はダブルを数回決めるなど絶好調。実釣後ターニングポイントになった以下のふたつの重要事項について戸張の解説を求めた。
 
■タナの重要性(タナボケ修正)
新ベラ狙いの両グルテンに限らず、底釣りではタナが重要な意味を持つ。先に述べたように1〜2cmの正確さにこだわるのではなく、あくまで理想と言われるイメージ通りのウキの動きになるタナを見つけだすこと。今回スタート直後は良い感じで釣れ始まったが、ナジミ幅が大きくなると共にウキの上下動が激しくなり、やがて良いアタリで空振ったり、スレが目立つようになる。この時点で戸張はタナが狂った(ヘドロが掘れて深くなった)と判断し3cmほどウキ下を深く取った。実は戸張、かなり早い段階でタナが深くなりつつあることを察知していた。それはハリ掛りするのが上バリから下バリへ変わり始めていたからだ。
タナが合っている場合、上バリにヒットする確率が極めて高くなると戸張は言う。今回の場合5cmズラシのタナではやや底が掘れてもそのほとんどが上バリを食ってきた。しかし一定レベル以上底が掘れると上バリが底を切れることがあり、すると安定的に底に着く下バリを食う確率が増すという訳だ。単に釣れれば良いというのではなく、入れ食い状態のなかでも冷静に状況判断し、早めに対処することでより強固な安定時合いを確立することができるというお手本だ。そして戸張はこうも付け加えた。軽いグルテンだとナジミ幅が小さくタナの変化が分かり難いが、『ペレットグルテン』は比重が大きくナジミ幅がハッキリでるためタナの変化に気づきやすいと。
 
■カラツン対策
底釣りは他の釣り方に比べて比較的カラツンは少ないと言われる。特に新ベラをターゲットにした両グルテンの釣りでは尚更である。にも関わらずカラツンが連続することがある。その原因はタナボケとウワズリにあると戸張は言う。タナボケ対策については前述のとおりだが、ウワズリに関しても実にシンプルな対策で修正を図る。それはアタリを送ること。早いアタリで乗らない時は特に効果的で、送ることによりダブルで釣れるようになるという嬉しい特典もついてくる。 新ベラが大量に寄ってくると必ずウワズリ気味になる。しかしこんなときのウワズリ防止・カラツンの抑制にも『ペレットグルテン』は一役買っている。溶け難い顆粒状ペレットがグルテンにまとわりつき、合わせたときに舞い上がりやすいグルテン繊維を底周辺に落ちつける効果があるので、ウワズリをそれほど恐れずに攻められるという。戸張はこの特性を最大限活かし、常に早いアタリを追いつつもウキの動きがおかしいと感じたら適宜アタリを見送り、ウワズリと紙一重の状況下で新ベラを釣り込んで行くのだ。

     
底釣りのアタリは「なじんで、返して、ツン」が基本と言われるが、新ベラ釣りではこの基本を踏襲しつつも可能な限り早いアタリ、ヒット率の高いアタリに的を絞ることが重要であると戸張は力説する。しかし『変化系』と言われる微妙な動きは極力避け、可能な限り明確なサワリの後に続く切れのあるアタリに積極的に合わせていく。それが証拠に記者が「ここでアタリそうだ」と思うところでは、ことごとく「チクッ」と力強いアタリでヒットさせていた。いわゆるこれが『誰が見ても釣れるアタリ』という訳だ。
アタリが少ないときも新ベラが数多く寄り始めてからも、戸張はいい加減な動きには手をださず確実性の高いアタリを取り続ける。終日記者が観察して得た結果と戸張の解説をまとめると、アタリの取り方には概ね以下に上げた4つのパターンがあることが分かった。
 
 

1.エサ落ち目盛りを過ぎた直後に「チクッ」と1目盛り程度入る鋭く切れのあるアタリ

2.トップがナジミながら「ズッズッ、チクッ」と刻みながら入るアタリ(新ベラ特有のアタリ)

3.上下動を繰り返しながらナジミ切ったトップが直ぐに返した直後の「ツンッ」と1目盛り程度入る明確なアタリ。このアタリが最も多いが、このタイミングで乗らない場合やウワズリを感じた時は更に返してからのアタリを狙う(但しアタリ返しの動きでも可能な限り早いアタリを狙うのが戸張流)

4.ナジんだトップが上下動を繰り返しながら返し、明確な食いアタリを見せないままエサ落ち目盛り付近で「ムズムズ」と動いた直後「モヤ〜」とエサ落ち目盛りよりも多くトップが水面上にでてくる食い上げアタリ(食いが良い新ベラが大量に寄ると頻繁にでるようになる)

 
 
  ウワズリ気味のときはこのアタリのパターンが定まらず、幾分ウキの動きが不安定になることもあったが、アタリを送り気味にしてへら鮒の動きを落ちつかせると1と3のパターンが7〜8割を占め、残りの2〜3割が2と4のアタリパターンとなる。概ねこれが理想的な時合いで、更にアタリまでの時間が短縮されると時間当たり20〜30枚の、文字通り爆釣モードへと突入して行くのである。勿論、戸張はこうした時合いを数多く経験している。特にダム湖や山上湖での新ベラ釣りでは無類の強さを発揮していることは皆さんご承知のとおり。そして戸張は言う。 「底釣りではトップが戻してからのアタリが大原則。でも、必ずしもエサ落ち目盛り近くまで(ハリに残るエサの量が少なくなるまで)待つ必要はない。ウキの動きを良く見るとエサを打ち込んでからトップがナジミ切るまでの間に、瞬間的に『戻す』動きが必ず見られる。その直後に『ツン』と入ればそれでOK。もしココで乗らなければ少しアタリを送ってからのアタリ返しを狙っても良い。特に放流直後の新ベラの場合、小さな押さえ込みの動きで乗ることが多いから、こうした動きに積極的に合わせてみてリズム良く釣り込んで欲しい。」と。

 
 
     
この日戸張は『ペレットグルテン』単品で終日釣り切った。そこには何の違和感もストレスもなく、非常に理想的なウキの動きと安定的な釣況が目についた。その背景には戸張自身『ペレットグルテン』を愛用し使い慣れていることもあるだろうが、エサのポテンシャルをすべて引きだす使いこなし術があることは容易に想像できた。そこで、誰でも簡単に真似できる戸張流のノウハウを紹介しよう。
■特徴(メリット)
・大きめの顆粒状ペレットの配合により、グルテンエサの欠点である集魚力不足をカバー
・フェロモン系特殊誘引剤『ULTRABITE・α』で多くの食いアタリが期待できる
・グルテン量が多いのでエサ持ちが良く、水深のある釣り場や待ち釣りにも対応できる
・比重が大きいのでナジミ幅をだしやすく、またウワズリ難い
■エサ作り
・標準はエサ:水=1:1だが、へら鮒の寄りが多くエサ持ちに不安があるときはやや硬めに仕上げるのがコツ。当日戸張は新ベラが大量に寄ることを想定しスタート時点で1.2:1の硬めで打ち始めたが、思ったほどは寄り切らず程々の状況から徐々に軟らかくし、最終的には1:1で決まりエサへと辿りついた。
■エサ付けサイズ・形状
・標準サイズは直径約13mmの水滴型で、へら鮒の寄りを制御するときに用いる最小サイズは直径約10mmの球形、エサを持たせたいときやへら鮒の寄りを増やしたいときに用いる最大サイズは直径約15mmのラフ付けで釣り込んだ。
■タッチの調整
・グルテンにはあまり手を加えないのが戸張流。基エサは硬めに仕上げておいて、状況により手水を加えながら徐々に軟らかくするのが基本であり、強く揉んだり練ったりすることはない。
【※タッチの調整方法(手水の加え方)については右写真参照】 両グルテンの底釣りで新ベラを狙う場合、アタリが少ないときや途切れがちなとき、ついバラケを入れたくなるが、必ずしも狙い通りにアタリが増えないことが多いように感じるのだが、この点についての戸張の見解はこうだ。
「僕の経験でもアタリが少ないときにバラグルセットにすると、釣れるときとそうでないときのムラが大きくカラツンも多いように感じる。それよりも両グルテンで通した方がたとえ時間はかかっても一旦寄ってしまえば安定的に釣れ続く。顆粒状ペレットを含む『ペレットグルテン』は集魚性に富んでいるので、打ち始めにアタリが少なくても打ち続けていれば必ず新ベラは寄ってくるし、足の速い新ベラの足止め効果も期待できる。つまり両グルテンのヒット率の高さはそのままに、バラグルセット並みの集魚力を併せ持ったエサだから、是非使い方をマスターしてまだまだ続く今シーズンの新ベラ釣りを満喫して欲しいネ!」。
 
   
  以前に比べると両グルテンでバクバクという時合いになり難くなっているのは事実であり、その主な要因は放流される新ベラの大型化に他ならない。何故なら大型(超大型)ベラには放流直後からエサならなんでも構わずに食うという習性はなく、どちらかと言えば腹は減っていても慎重にエサを口にする傾向なので、次から次へとアタリを持続させ釣り続けることがたいへん困難なのである。しかし放流される新ベラが中小ベラであれば、現在でも以前と同じようにバクバクの爆釣が可能な訳で、事実取材時に戸張が繰り広げたイレパク劇はその可能性の証と言えよう。そして戸張はこう力説しへら鮒釣りファンにエールを送る。 「大型は難しいと言われるけれど2枚/kg〜3枚/2kgまでなら問題なく釣れる。実際に今日の釣りでも500〜600gクラスの新ベラが結構混じって来たからネ!中小型の新ベラならばまったく問題ないが、魚体が大きくなるにつれて集魚不足やアタリの出るタイミング等でやや不満がでるのはいたし方ないが『ペレットグルテン』を使うことでこれらの問題を解消してくれるハズ。あくまで新ベラ釣りは放流のタイミングが命。チャンスはまだまだ続くので、放流スケジュールをしっかりリサーチして、是非爆釣体験を成し遂げられることを祈っている!」

 
     

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