へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第7回 悩めるウドンセッター必見! 岡田清の盛期の超攻撃的メーターウドンセット釣り


  短竿浅ダナウドンセット釣りが一年中通用する釣り方であることは周知の事実だが、その中身は季節によって大きく異なり、決して一筋縄ではいかないことも十分認識されていることだろう。元来ウドンセット釣りは食いが渋くなる冬場の低活性期の釣り方であるため、釣果そのものは少なくても釣りやすさの点から見れば厳寒期の方がやさしいと言える。ならば難しいのはいつなのかということになるが、それはまさにこれからの時期。つまり高活性時における釣りなのだ。 そこで今回はトーナメントの申し子岡田清に登場願い、悩めるウドンセッターのためのヒントが数多く盛り込まれた釣れる盛期のウドンセット釣りを紹介する。  
     
近年の浅ダナウドンセット釣りは、数あるアプローチのなかでもとりわけ難解な釣り方である。それにも関わらず多くのアングラーが浅ダナウドンセット釣りを選択する訳は、他の釣り方よりも釣れるからに他ならない。何やら矛盾を感じる表現だが、その真意はというと実際に組み立てがピタリと決まった人はトップ釣果を叩きだすことができるが、たとえその隣の釣り座であっても組み立て方を誤ると満足にアタリをだせないで終わってしまうことが多いという、極めて残酷な一面を併せ持っているということだ。つまり正解の幅が極めて狭く、決まった人とそうでない人の差が大きいというのが実情なのである。 こうした現状を踏まえたうえで改めて組み立て方を考えた場合、その基準になるのはへら鮒の活性の度合い(食い気の有無)であろう。この基準がブレてしまうと釣り自体成立しなくなるため、極めて重要なポイントとして理解しておかなければならない。そこで岡田が考える線引きをまとめると概ね次のようになる。

1.低活性時【ウキの動きをだすのが困難な厳寒期】
オモリ負荷量の小さなウキで抜き系を主体とし、へら鮒が反応するバラケとクワセの距離感を意識してタックルセッティングやバラケのタッチ・抜き加減を煮詰めていく。総じてバラケは重めでネバリは少なく、クワセは小さく軽めでハリスも長めとなることが多い。
2.中活性時【春先や晩秋⇔両ダンゴ移行期】
状況により抜き系と持たせ系を使い分けるが、厳寒期に比べてタナをしっかりと作ってから釣り込むことを意識する。バラケは重めだがややネバリを出し、クワセは状況により反応が良いものを使い分け、ハリスセッティングも状況により頻繁に変動することが多い。

3.高活性時【両ダンゴでも十分釣れる時期】
持たせ系を主体とし、バラケにできるだけ接近・反応させて釣り込む。意識してバラケを食わせるつもり(実際にかなり食う)でセッティングするくらいで丁度良い。バラケはやや比重を抑えたダンゴチックなタッチで、クワセは比重の大きなしっかり目のもの。ハリスは比較的短めで決まることが多い。
  このようにすべてのセッティングはへら鮒の活性に合わせることを最優先に考慮し、その後の組み立て方もこの基準を元に構築することが大切であり、ひいてはそれが難解なウドンセット釣りを明確にするための大前提になるのである。  
 


   
   
■サオ
規定最短尺を基本とするが、富里乃堰やへら学の森泉園の浮き桟橋ではない陸(岸)からの釣り場等、アタリの多さや釣れるへら鮒の型に差がでる釣り場ではやや長めの方が有利になるため、13〜15尺くらいまでは使用範囲とする。
 
■ミチイト
同じ浅ダナウドンセット釣りであっても盛期の釣りとなるため、ミチイトはやや太めのセッティングが安心だという。但しアタリのでるタイミングがすこぶる早い釣りなので、沈みの早い(沈めやすい)タイプを選択することも重要なポイント。
 
■ハリス
上ハリスは0.5号/6cmでほぼ固定するが、よりバラケの存在をへら鮒にアピールした方が良いときは8cmまで伸ばすことがある。今回岡田が使用したオーナーばり「上鈎バラサ」ループ付は長さが6/8/10cmの3タイプ用意されているため変更は至って簡単である。下ハリスは時期的に短めが基本となるが、短バリスありきと決めつけるのは危険である。そのため予めやや幅を持たせて考えることが大切だという。設定の基準は魚影の濃い釣り場ほど、また食い気の旺盛なコンディションの良い釣り場ほど短くなる傾向で、最短ではヒゲトロセット釣り並みの15cmとなることもある。但しカラツン対策としてハリスを詰める際は注意が必要で、以前のように数cm単位で調整する効果が薄れている点と、詰め過ぎることでアタリが激減してしまう恐れがあることを理解しておかなければならないという。
 
■ハリ
上バリは「バラサ」7号でほぼ固定。盛期の釣りではバラケをタナまで持たせることが重要であること、また岡田流の超攻撃的なウドンセット釣りのキモとなる「食っちゃって構わない」というタッチのバラケを確実にタナに送り込むために必要な大きさが「バラサ」7号になる理由である。下バリはクワセタイプの「サスケ」を常用するが、そのサイズは3号から6号までと幅広い。使い分けの基準はクワセの種類と食い気のバランスで、クワセが小さく軽いほど、また食い気が乏しくなるほど小さくなり、クワセが大きく重くなるほど、また食い気が旺盛になるほどサイズアップするのが基本である。
 
■ウキ
岡田が愛用する「本田作」はナジミ込みが良いカヤ製である。ボディの体積に対して浮力が大きく見た目よりもオモリを背負うため、表層のガサベラが騒がしくなる盛期の浅ダナウドンセット釣りでは大きな武器となる。エサ落ち目盛りに関してはクワセを付けた状態で太めのパイプトップ先端3目盛り出しと、これもまた超攻撃的な釣りに特化したセッティングとなっている。バラケを持たせるのが盛期の浅ダナウドンセット釣りの基本であると述べたが、それは開きを抑えたバラケをタナにぶら下げてアタリを待つことではなく、タナに入って(ナジんで)すぐのタイミングから、遅くてもバラケが抜けきる前の1〜2目盛りトップが返した時点で食わせることを目標とするためである。悪戯にトップを多く出すことはナジミ難くなったり、バラケが重くネバリが強くなる方向に移行してしまう恐れがあるため、考えようによっては自ら釣り難くしてしまうことになるので注意が必要である。
 

 
 
これもまた矛盾に満ちた表現であるが、これこそが現在の岡田流浅ダナウドンセット釣りを成立させている最も重要なキモなのである。もう少し分かりやすく表現するならば、いい加減なエサ付けでは持たないくらいのヤワボソタッチのバラケを、丁寧且つ的確なエサ付けで持たせることができればアタリがだせるということである。ブレンドレシピをご覧いただければ誰でも岡田と同じタッチのバラケエサを作ることは可能だが、エサ付けまで含めてマスターできなければ同じようにアタリをだすことは不可能だ。こう言ってしまうと、彼の釣りを参考にしよう、マスターしようと考えているアングラーには些かハードルを上げてしまう結果になってしまうかも知れないが、実は彼自身も極めて繊細なエサ使いの中で失敗を繰り返していることを知っていただければ少しは安心していただけるだろうか。 どういうことかと言えば岡田自身バラケエサをハリに付ける際、基エサをそのまま摘まんでエサ付けしたのではほとんど持たせることは不可能だ。そこで彼が行っているのが基エサを指先で摘まみ取ってから数回手揉みを加える方法だ。これはエサ打ちのリズムを阻害しないように、エサを打ち込んでアタリを待つ間に 行う動作であるが、揉み数が少なければ持たないのは当たり前だが、揉み過ぎても開きが悪くなりウキが沈没してしまい理想のアタリをだすことは不可能だ。よって毎投的確な揉み数が必要になる訳だが、アタリを待つうちについ数多く揉んでしまうことがあるらしく、そのときはそのままエサ付けすることはせず、改めて手揉みを加えた確な揉み数のバラケを付けることを実践している。彼ほどのテクニシャンであってもこれくらい繊細なエサ付けを心がけている訳であるから、他のアングラーは現状よりも丁寧且つ慎重なエサ付けを心掛けねばなるまい。 またハリは引き抜きスタイルではなく押し込みスタイルの方がエサ持ちは良いとも言う。これは経験豊富な彼の実釣から導き出された答えであり、大きな説得力を持って多くのアングラーに受け入れられるであろう。
 
 
 
 
第2のキモは持たせたバラケを食わせること。とは言っても絶対的に食わせるようなセッティングを目指す訳ではなく、あくまで「それくらいのつもりで…」というスタンスだ。しかし状況によっては2〜3割、否それ以上バラケを食ってくることもあるというが、実際には1〜2割程度に止まることが多い。だがこうした意識で組み立てていくと、不思議とアタリがでるようになりクワセへのヒット率も上昇するという。両ダンゴでも釣れるくらいに活性が上がった状態での浅ダナウドンセット釣りでは、タナを強く意識した「持たせ系バラケ」で、それにできる限り接近させてアタリをだすように組み立てるのが岡田の理想とする盛期のセット釣りである。ならば同じ接近戦であるヒゲトロセット釣りでも良いのではないかという声も聞こえてきそうだが、その線引きについて岡田の考えは、
「明らかに麩エサ(両ダンゴのタッチに近いもの)を食いたいにも関わらず食いきれないときや、両ダンゴではへら鮒が寄り過ぎてしまうような状態ではヒゲトロセット釣りの方が釣りやすいと思いますが、同じ麩エサでもバラケで調整可能なタッチで反応するときには、ウドンセットのままでバラケを食わせるつもりで組み立てた方が、時合いが安定するようです。この釣り方ではバラケを食われることを良しとしない風潮もあるようですが、実際にクワセと一定の距離感をもって組み立てる釣りと比較すると、この組み立て方の方が確実にアタリが多く、決まるとクワセへのヒット率も格段にアップするのです。」という。
バラケを食わせるタッチに近づけ、へら鮒が接近戦を挑むように仕向けるために必要なことはバラケのタッチの調整である。釣れるタッチのバラケエサに仕上げるためには、まず的確な基エサ作りが必要不可欠であると岡田は言う。つまり基エサ自体方向性が合っていないと、どんなに調整を加えてもイメージ通りにウキを動かすことができないということである。そのため前述のいくつかのブレンドパターンが存在する訳だが、方向性が定まった後はそれほど難しいテクニックは必要としない。なぜならば岡田が加える調整とは手水と撹拌のみだからだ。 手順はこうだ。まず水が張られたボウルに手を浸し、その手を基エサの入ったボウル上に移動させ水滴をまんべんなく振りかけてから麩の粒子を潰さないよう、五指を熊手状に開いて丁寧に撹拌を加える。これを自分が思い描くタッチになるまで数回繰り返す。実際にやってみると、手を加える程にしっとり柔らかくややネバリが加わる感覚が分かるはずである。 食わせる意識はアタリの取り方にも特徴的な傾向として表れる。
一般的な持たせ系のセット釣りでは一旦トップをナジませ、さらにクワセが張り切ってからのアタリを取ることを基本としている。ところが岡田流ではナジミきる直前からヒットチャンスが訪れる。つまりこれこそがバラケを食うタイミングであり、このアタリがでなければナジミきった後のクワセへのアタリを狙うという2段構え・2枚腰のアタリの取り方こそが超攻撃的と言われる所以なのである。ウワズらせることなくこの早いタイミングでアタリがでるようにバラケを調整すると、タナができたときにはクワセへ確実にアタックしてくるようになる。すると釣れるへら鮒の型も良くなり一気に釣り込める分厚い時合いが完成するのである。
 
 
 
■岡田の浅ダナウドンセット釣りを支える5本柱
前述バラケブレンドの各パターンすべてに共通するのが「粒戦」「とろスイミー」「パワー・X」「セット専用バラケ」「プログラム」。これが岡田の浅ダナセット釣りを支える5本柱であり、これに加える最後の1種が釣りの方向性を決定付ける舵取り役となる。抜き系を強く意識するときは「底バラ」、持たせ系を意識しつつもやや上から追わせるように(上層のへら鮒を刺激するように)するときは「軽麩」、そしてバラケを食わせる意識を強く前面に押し出したバラケには、最もまとまりの良い「BBフラッシュ」が加えられる。このように軸となる素材が変わることなく、僅か1種類でバラケの方向性を変化させるという手法は、単純且つ最も合理的な方法ではないだろうか。改めて5本柱個々の素材の意味を簡単にまとめると以下の通りとなる。
「粒戦」
現代セット釣りの核となる顆粒状ペレットであり、視覚的・嗅覚的にへら鮒をクワセへと誘導し且つウワズリを抑える効果を狙っている。途中水を吸わせない生状態での追い足しも行い、クワセへの誘導を強化する。
「とろスイミー」
「持たないエサを持たせる」ためになくてはならないキーアイテム。好タッチのソフトなネバリがボソタッチの仕上がりでもまとまり感が強まり、確実にタナに届くと同時に下方向への抜けを強化する。特に抜き系を意識するときは素材をそのまま途中追い足しをする。
「パワー・X」
ラインナップの中では最強ランクに位置する超強力バラケエサ。暴れ馬のような激しい性格を持っているので扱いにはややコツが必要だが、他のまとめ系素材とのブレンドで他には代えがたい強力な集魚力とウワズリ抑制力を手にすることができる。
「セット専用バラケ」
細かくやや重めの粒子で構成されており、確実に下方向に落ちることでクワセとのシンクロを容易にする、現代セット釣りにはなくてはならないベースエサ。
「プログラム」
ダンゴエサとして世に出たエサだが、まとまりの良さと独特のボソ感がセット用バラケにマッチしており、これもまた持たせ難いタッチのボソバラケを持たせてタナで開かせる重要な役割を担っている。
 
 
   
  へら鮒の活性(主に時期と理解しても良い)に合わせたバラケ使い。この基本コンセプトを軸にバラケを寄せるためだけではなく、バラケそのものもクワセとして食わせてしまうほどの接近戦を挑むスタイルが、岡田流盛期の超攻撃的な浅ダナウドンセット釣りの真骨頂。岡田語録には「持たないバラケを持たせる」などテクニックとしてはハイレベルで難しそうな印象を受けるものもあるが、その実態は極めて明快な理論に則った超基本的な骨太のシステムであった。
「切り口は人それぞれ違いがあるかも知れませんが、基本的には両ダンゴエサとは似ても似つかない程まとまり難いボソタッチのバラケを駆使する点は同じはずです。そのなかでも僕のスタイルは比較的おとなしく(笑)スタンダードな釣り方だと思いますよ。バラケを食わせるという発想も麩系のエサを食いたがる時期なので、無理に遠ざけようとはせずにバラケの芯に近づくものはバラケで仕留め、漏れたへら鮒をクワセで仕留めるというように考えればカラツンだって怖くなくなりますよ。特に今シーズンは新エサ「力玉ハード」がラインナップに加わりますので、夏場の高活性時でもエサ抜けの心配はありません。是非新たな発想と新エサでこれから迎える盛期のウドンセット釣りを楽しんでください!」 と締め括った。

 
   

「釣技最前線」その他の記事へ

このページのトップへ