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基本に忠実な内島のタックルには特徴的なものは見当たらない。これこそが王道タックルであり、誰もが容易に真似ができる教科書的なセッティングと言えよう。 |
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■サオ |
縦サソイやくわせエサの置き直しを的確に行うためには、できる限りサオ一杯で底が取れる長さのものを選択することが重要だ。これは正確な底立てを行う上においても大切なことで、意識的に沖目を狙う場合を除き、穂先とウキの間の遊びを少なくすることで釣りの精度がアップする。
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■ミチイト |
厳寒期の釣りであることから、繊細なアタリを確実にウキに伝えることや、風流れ等の影響を最小限に抑えるために細めのセッティングを基本とする。但し現在はどこの釣り場でも大型魚が多くなっているため、強度に対する不安を払拭するためには0.8号くらいがベストだという。 |
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■ハリス |
厳寒期における基本セッティングは別図のとおりだが、今回のように中尺以上の長さのサオを使う場合(概ね水深4m以上)、上ハリスは0.4号/15cmでほぼ固定とする。これ以上短いサオの場合(水深が浅い場合)はスケールダウン的な発想で、上ハリスは0.4号/12〜13cmとする。また下ハリスは60cmを基本とし、極端にウキの動きが悪い場合は75cmくらいまでは想定の範囲内とする。また上バリのセッティング同様に短いサオを使用する場合は50cmが基本となる。 |
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■ハリ |
上バリはバラケ専用の6号でほぼ固定。これは形状・サイズ共にバラケを持たせたり抜いたりするコントロール性能が優れているためである。下バリは3〜5号を使い分ける。スタート時は中間の4号とし、くわせエサの種類やアタリの出方によってサイズを変更する。実戦ではサワリがあっても食いアタリがでない状況が続いたときに、3号にサイズダウンさせてアタリを誘発させ、その後もコンスタントにアタリを出し続けた。 |
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■ウキ
段底ではPCムクトップの旭舟「心」を愛用する内島。このウキはサワリがハッキリでるためへら鮒の状態が読みやすく、またナジミ幅を深くとったり浅くしたりと自在にコントロールできる点も優れているという。そしてパイプトップ仕様の旭舟「爛」との使い分けについては、通常のコンディションであれば「心」で釣り通し、強風時のシモリを抑えたり大きなバラケを持たせる釣りになるときはパイプトップの「爛」を使うとアタリが取りやすいという。 |
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内島は大きめのタナ取りゴムとフロートを使って底立てを行う。そして下バリトントン+3cmがスタート時の基準ダナとなる。下バリトントンを基本とする考えもあるだろうが、打ち始めからいきなり3cmのズラし幅をとることに関して内島は次のように解説する。
「段底では絶対にくわせエサを底から離さないことが重要です。つまり釣り始めであってもいきなり底が掘れたりする可能性がありますので、あらかじめ3cm程度のマージンを取っておくと安心して釣りに臨めるのです。その際必ず勝負目盛りが水
面上に出ていることを確認します。勝負目盛りとは下バリ(くわせエサ)が底に着くことででる本当のエサ落ち目盛りのことで、自分は下バリが底を離れた状態でのエサ落ち目盛りを7目盛りだしとしていますので、下バリが底に着くとハリの重さが掛からなくなるため8目盛り目が水面上に表れます。これこそがくわせエサが底に着いていることの証で、この目盛りでアタリを待つ(出す)のが段底の基本なのです。
私の場合、この勝負目盛りでアタリを取るのが基本ですが、ひとつだけ例外があります。それはバラケがまだ残っている状態でのアタリでも、それが明確であってしかもヒット率が高く持続性がある場合は積極的に狙うことがあります。つまり勝負目盛りがでる前のアタリをとる訳ですが、これで釣れれば他よりも大きく抜きんでることが可能です。但しヒット率が低い場合は深追いせず早々に基本の釣りに戻ります。こうした切り替えも安定した釣果を得るためには大切なことだと考えています。またアタリがでる直前には必ずサワリが表れますが、特に重要なのはこの勝負目盛りが出てからのサワリです。勝負目盛りがでる前の、バラケがまだ上バリに残っているときのサワリも大切ですが、それは近くにへら鮒が居ることの安心感として捉え、バラケが完全に抜けきった後、勝負目盛りが水面上にでてからもサワリが継続することこそ最も重要だと考えます。そして、その動きから連動して食いアタリがでることにすべて力を注ぎます。それはバラケの持たせ方であったりくわせエサの使い分けでもある訳ですが、それについては後ほど紹介することにしますので、ここではとことん勝負目盛りがでるタナにこだわり、アタリがでてヒット率が高まるタナを維持することの重要性を認識していただきたいと思います。」
実釣時の内島のポイントでは正面やや左が深く、また右寄りの方が底の状態が良いらしく、明らかに右の方が勝負目盛りがでやすく食いアタリも明確にでていた。早い段階でこのことに気づいていた内島は、少々窮屈に見えたが意識的に正面よりも右寄りにエサを打ち込み、また流れが生じてからは流される分を計算に入れて、必ず勝負目盛りがでてアタリがでやすいポイントにくわせエサが着底するようロッドワークを駆使していた。こうした地味な作業も軸太戦略には大きな力となり、時合いになるまではやや時間はかかるものの、釣れ始まったときの爆発力と安定感は他の追従を許さないほど力強いものとなるのである。 |
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