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新たな攻略スタイルは一朝一夕に生まれるものではない。現在スタンダードと言われる釣り方の多くは、探究心旺盛なアングラーにより、長い時間をかけて試行錯誤が繰り返された末に生み出されたものである。なかでも変化が激しく、釣り方が短期間のうちに変わってしまうのが浅ダナを狙ったウドンセット釣りであるが、今回はトーナメントシーズン真っ只中の今、確実に結果を残せる釣り方を紹介する。登場していただくアングラーは萩野孝之。言わずと知れたトップトーナメンターの彼が編み出した、多角的アプローチの浅ダナウドンセット釣りをとくとご覧あれ。 | |
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![]() 「最近のセット釣りは本当に難しくなりました。浅ダナは釣れるには釣れても接点が狭く、チョーチン釣りではアプローチ自体マニアックになり過ぎて、正直ついて行けないところがあります。それでもトーナメントで勝つためには、絶対的な自信をもって臨める釣り方が手の内になければなりません。実際のところ、ここ数年私の浅ダナウドンセット釣りは煮詰まっておらず、釣れたり釣れなかったり非常に不安定な状態が続いていました。 選択肢としては流行に乗ってライト系のセット釣りを極める方法もありましたが、現在そうした釣り方を得意としている人達には追いつくことはできても、ブッチギリで追い抜くことはできません。それ以前に流行になじめないというか、ライト系の釣り方自体に違和感を覚えましたので、改めて私らしい釣り方を模索して数年間に渡り試行錯誤を繰り返してきました。その結果たどり着いたのが、今日紹介するセット釣りなのです。」 筆者も今回初めて見る釣り方であるが、その理論と実釣を目の当たりにして、かつてのパワー系セット釣りを彷彿とさせる力強い攻め方が目の前で繰り広げられている様に、セット釣りはかくあるべきと言う思いが沸々と湧き上がるのを覚えた。 萩野の釣りをひと言で表現すると「パワーで寄せてライトに食わせる」釣りとでも言えようか。明らかに大きめのバラケを躊躇することなくポイントに落とし込み、見た目には力づくでタナにねじ込んでいるように思えるが、ウキが立った直後に激しく消し込むバラケを食うアタリを除き、意外にも静かなウキの動きと小さな食いアタリで釣り続けるのに驚かされる。このアタリこそが萩野のセット釣りの核心部分であり、彼の言葉を借りれば「極めてナチュラルな誤飲のシステム」ということになる。では早速、椎の木湖で繰り広げられた彼の釣りを見て行くことにしよう。 |
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タックルセッティングでも触れているが、今回萩野が実践して見せた釣りで特徴的なのは、そのウキと下ハリスの長さである。近年トーナメントシーンでよく見られるような繊細なウキと短バリスという組み合わせとは正反対のセッティングであるが、そうした流行のセット釣りがバラケとクワセのシンクロ、つまり食い気のあるへら鮒がタナに入ったところで食わせるのに対して、萩野のセット釣りはタナでバラける粒子のなかにくわせエサを紛れ込ませ、バラケの芯からやや遠巻きに位置する大型に誤飲させてしまうというシステムを採っているがゆえの、強めのウキと長めのハリスセッティングと理解できる。
もう少し分かりやすく解説すると、現在流行とされるセット釣りで食わせられるレンジは極めて狭い範囲であり、尚かつ食うタイミングもピンポイントで極めて短い時間しか与えられていない、いわゆるワンチャンスの釣りである。これに対して萩野のセット釣りでは食うレンジが広く、しかもヒットチャンスが長い(多い)のが特徴なのである。(※詳細は後述) 実釣ではスタート直後にセットしていたウキ(ボディ5cm/足6cm/オモリ負荷量0.6g)を、立ち上がりの位置がバラバラになり、バラケがタナまで入り難くなった時点でワンサイズアップしてアジャスティング。これにより立ち上がりの位置が一定するようになり、格段にアタリが出る確率がアップ。また下ハリスに関してはカラツンが連続した際でも変えることなく、終日ほぼ30cmで通すことでアタリが途切れるシーンはほとんど見られなかった。 ![]() |
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![]() 「今日はウィークデーであり、両ダンゴでも充分に釣れる時期でもあるので、かなりの確率でバラケを食うのは仕方ありません。これが盛期であってもトーナメントのように混雑と独特の緊張感のなかでの釣りとなると、その確率は大幅に低下してしまいます。その場合特に意識しなくても自然とくわせエサの方を食うようになるので、むしろ一枚が勝負を決するトーナメントシーンでは、意図的に狙わずにバラケを食ってヒットするのであればラッキーと考えるべきでしょう。 今の時期では普通に釣っていても上バリを食うものが3割、下バリを食うものが7割くらいというのが平均的なところで、秋から冬にかけて気温や水温が下がり活性が低下するのに従い、徐々に下バリを食う確率が増してくるので、特に意識する必要はありません。」 また萩野は安定して釣れ続いている最中に、バラケかくわせエサかいずれを食ったかをアタリの違いで見事に言い当てていたのだが、実はこれもこの釣り方のポイントのひとつで、食うタイミングによってアタリの出方が変わることを理解しておかなければならない。 「概ねアタリは3パターンに分けられます。まずウキが立った直後からナジミきるまでの間に、受けからズバッっと大きく消し込むアタリはバラケを食うアタリ。次にナジミながら上下動を繰り返し、静止することなくほぼナジミきったところでスパッとキレ良く突き刺さるアタリは、下バリが張りきった瞬間にくわせエサにヒットします。そしてこれが最も多いパターンですが、トップ先端一杯までナジんだトップが返した直後、つまり上バリに残ったバラケが抜けた瞬間にくわせエサへと誘導されると小さくフワフワとトップがあおられ、直後にカチッと小さいが鋭いアタリがでます。これこそが誤飲が成せる業で、この釣り本来の食いアタリです。 かつてのパワー系ウドンセット釣りでは、強力に開く持たないバラケを如何に持たせてタナに送り込めるかがキモであり、くわせエサもハリスの張りをキープするため重く大きなウドンが必須条件でした。ところが現在では同じようなバラケで寄せても、ハリスが強く張ってしまうような比重の大きなくわせエサにはほとんど興味を示しません。そこでバラケの粒子と酷似した小さく軽いくわせエサを使うことで、気づかぬ間に誤飲させるという発想にたどり着いたのですが、そのため意外に食いアタリが小さいことを忘れてはいけません。 大切なことはウキの動きとタイミングによってアタリのパターンに強弱があるということで、これを理解していないと、ナジむ前の小さなアタリに手を出したり、バラケが抜けた後の大きな消し込みアタリ(恐らくはスレアタリ)をカラツンだと誤解して、無意味な対処をとりかねませんので充分に注意が必要です。」 |
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![]() 「トーナメントでは自分の釣りを持っていることが大きな自信となります。今回紹介した釣り方であれば並んでいても寄せ負けすることはありません。常に自分のポイントにへら鮒が寄っているという安心感は、それだけでかなりのアドバンテージになりますし、実際に釣りを組み立てる上でも優位に立てることは確実です。繰り返しになりますが、バラケは打ち込む量も含めてパワー系のイメージで寄せることを意識し、くわせエサは軽く小さなものでライト系のイメージで食わせることがキモになります。つまり見た目はパワー系ですが、水面下、特にくわせエサを吸い込む瞬間のタナの様子は紛れもなくライト系という訳です。こうしたアプローチであれば、おそらく冬場もかなり期待できそうですが、この釣り方がこれで完成と言う訳ではありませんので、更にブラッシュアップできた際には、改めて情報発信させていただきたいと思います。」 |
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