へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第26回 新ベラ旧ベラ一網打尽! 綿貫正義の驚速両グルテン必釣法


いよいよ今年も新ベラの季節がやってきた。既に会心の新ベラ釣りを楽しんだという方もいるだろうが、本来簡単であるはずの新ベラ釣りが年々難しくなっていることにお気づきだろうか? 以前は新ベラに絶対的に有利だといわれる両グルテンで簡単に、しかも長時間釣れ続いたものが、今ではどのようなエサ使いでも決めることが難しく、何より持続性に乏しいことが新ベラ釣りの楽しさを阻害しているように感じる。つまり新ベラにターゲットを絞ることはリスクが高く、充分な釣果を得るためには新旧両方のへら鮒を視野に入れなければならないということに他ならない。 そこで今回はマルキユーフィールドテスター綿貫正義に、新たなアプローチとして注目される両グルテンの宙釣りを紹介してもらうことにした。新ベラ旧ベラ相手を選ばず、しかも両ダンゴ並みの驚くべき速攻の両グルテンの宙釣りは必見の価値大である。  
   
今回の取材フィールドは千葉県富里市にある富里乃堰。例年通り10月に入ってから既に4t強の新ベラが放流されており、放流直後は色々な釣り方やエサ使いで新ベラが釣れていた。しかし、水温が下がりきらない時期によく見られる傾向で、まだ活性の高い旧ベラが活発にエサを追うので、新ベラだけを狙うには難しい状況であった。加えて新ベラの動きが早いため一ヶ所に留まることがなく、取材時の時点ではかなり広範囲に、しかも満遍なく新ベラが散らばってしまったため、両グルテンというエサ使いそのものが成立するのかさえ危ぶまれた。
「富里乃堰のへら鮒はグルテンに対する反応が良いのでまったく問題ありません。そもそも私の両グルテンのアプローチでは新ベラ旧ベラの釣り分けは考えておらず、グルテンに興味を示して食ってくるものだけを相手にするのが自分流の両グルテンだと思っています。もちろん新ベラが食うようであれば釣りも簡単になりますし、何よりも重量が稼げるので競技においてはかなりのアドバンテージになります。しかし、この時期両グルテンで釣れる旧ベラは既存のへら鮒のなかでもコンディションの良いものが多く、よく見ないと新ベラと間違ってしまうほど姿形の綺麗なものが混ざるのが特長で、重量の点では決して劣ることはないのです。
私が新ベラにこだわらない理由は、新ベラは期待を裏切ることが多いからです。確かに大型の新ベラが揃う釣りは楽しいですが、放流量の減少やへら鮒の大型化という現在の釣り場事情を考えると、余程条件に恵まれない限り新ベラばかりバクバクという状況にはなり難いのが実情です。特に私が目指す競技の釣りを見据えた場合、新ベラにターゲットを絞ることはあまりにもリスクが大き過ぎます。正直釣れない確率の方が高く競技向きとはいえません。そこで新ベラは混ざれば儲けもの程度にとらえ、ターゲットを旧ベラメインに据えることで確実性を高め、安定的な釣果を目指すのです。
となると爆釣は無理なのでは?と思われるかも知れませんが、意外にもそうではありません。時期や釣り場と言った条件にもよりますが、両グルテンというエサ使いに加えて長竿で沖めに居着く待機ベラを狙うこの釣り方は、いわゆるガサベラといわれる釣りを難しくする相手を刺激することなく釣りを組み立ることができるため、無駄なウキの動きが抑えられ、ヒット率の高い気持ちの良い釣りができることを断言しますよ!」
独自の両グルテン釣法を持つ綿貫は自信を持ってこう言い切る。つまり完全にセット釣りに移行する前の、まだ両ダンゴでも充分に釣れる状況下においての両グルテンという選択肢は、安定的に釣り続けられる必要最小限のターゲットだけをキープすることで規則的にパターン化されたアタリを演出することが可能になり、その結果他を圧倒する釣果を得ることが可能だということである。

 


   
■サオ
沖目を狙うことが絶対条件であるが、ハイテンポなエサ打ちが良い時合いを作り上げるためには必要不可欠な要素なので、目安としては18尺が長さの限界となる。
 
■ミチイト
盛期の釣り方ではないが、そのリズムは極めて早く盛期並みの展開になることも少なくないので、比較的良型のへら鮒が多い釣り場では1.0号が基準となる。また浅ダナというカテゴリー上沈みの良いタイプを使うことも大切なポイントである。
 
■ハリス
ハリスの太さは0.5号が標準的だが、長さについては両ダンゴ感覚の速攻を決める上では極めて重要である。基本的な長さは上55cm/下70cmとしてスタート時のセッティングとするが、状況を見ながら長さを調節する。ウケが少ない(短い)ときには長めとし、エサが入り難いときには短くするのがセオリー。その調整範囲は上40〜60cm/下50〜80cmとしている。
 
■ハリ
エサ使いこそ両グルテンだが、釣り方そのものは両ダンゴ。それも深宙釣りに近い感覚なので、汎用性が高く共エサの釣りに適した改良ヤラズタイプがベターだという。エサ付けの大きさから最適サイズは上下共に6号とする。

■ウキ  
エサを動かしながら、しかもナジミきる前のアタリを的確に捉えるために必要なスペックをすべて兼ね備えているのが、今回綿貫が使用した弥介『ウォーターゴッドオールマイティーPC』である。攻めるタナに適したオモリ負荷量にマッチングさせたトップバランスが、綿貫が理想とするトップ付根でのウケを演出し、さらにはナジミ際の食いアタリを明確に演出する。
 
 
 
 
先に述べた通り、綿貫流の両グルテンの宙釣りでは、新ベラ、旧ベラいずれもがターゲットであり、釣りを組み立てる際に最も重要なのは“ウケ”をだすことだと言い切る。
「ウキが立ち上がった直後にウケをだすことは両グルテンの宙釣りだけでなく、へら鮒釣りにおけるすべての釣り方に共通する大切なポイントです。適度なウケはへら鮒が狙いのタナに寄っていることを示し、打ち込まれたエサに対して興味を示している証です。特に両ダンゴや両グルテン等の共エサの釣りではウケをだすことで、その直後にでる早いタイミングのアタリで食わせることができるので、私の目指す速攻の釣りではウケは必要不可欠な要素なのです。 理想的なウケを出すためには様々な条件を整える必要がありますが、なかでも最も重要な決め手となるのがタナです。このタナが合っていないと他の条件が揃っていても上手く釣りきれませんし、逆をいえば適切なタナのアジャスティングができさえすれば、他の条件が多少ズレていたとしてもソコソコ釣りがまとまられるのです。」
この日綿貫はタナ二本(ウキ止めゴムからオモリまで2m強)で実釣を始めたが、これがこの日このポイントでの基準のタナであるという。つまりポイントの水深が約4.8mなので、ほぼ真ん中のタナから攻め始めることになる。
「中間層から攻めるのは、常にニュートラルな状態から探り始めて状況を把握するためです。特に状態が分からない釣り場では、浅いか深いかいずれかに偏ってしまうと最適ダナが見つけられなくなる恐れがあるのです。よってスタート時のタナの基準は、水深が3mの場合は1.5m程度、6mの場合は3m位のタナで始めます。
その上で釣りながらベストのタナを探る訳ですが、タナを変える場合は1回に1尺前後浅くしたり深くしたりします。これはタナの正誤判定をハッキリさせるためで、このくらい変化させないとその効果のほどが分かり難いのです。最終的には10cm単位の微調整を加えることもありますが、釣れるときはそれほど難しくありません。とにかくマメに、かつ大胆にタナを探ることが重要で、もちろん一発で決まることもありますが、時合いに合わせて一日に何度も変えるのが当たり前と考えた方が良いでしょう。
また、タナは上(規定一杯の浅ダナ)から下(底近く)まで幅広く丹念に探ることが肝心です。釣り場によっては傾向というかクセのようなものがあり、ここ富里乃堰ではタナ三本から底近くの深めのタナで決まることも多く、探り漏れがあると一日中決まらないことがあるので注意が必要です。」

実釣での綿貫は約二本のタナを重点的に攻めることでウケを維持していたが、一時的にウケが強過ぎてウキがナジミ難くなったときには1.5m程の浅ダナとし、またウケが弱くス〜と早くナジんでしまう投が続いたときには徐々に深くしながら、最終的には3.5m前後の深めのタナも丹念に探りながら釣り込んでいく。 更に綿貫は、理想的なウケをだすためのポイントとしてサオの振り方(エサの打ち込み方)にもコツがあるという。
「ある程度タナが決まれば、ほぼ毎投ウケがありコンスタントにアタリがでるようになりますが、それでも数投はナジミ際の反応が鈍くなることがあります。そんなときに有効なのが、エサがナジミきるまでの時間を長くできる振り切り気味のエサ打ちです。但し長めのハリスを使用しているため完全に振り切ってしまうと水面直下のガサベラにつかまってしまう恐れがありますので、ウキに表れる反応を見ながら少しずつ沖めに打ち込むと良いでしょう。」
アタリの取り方については後ほど詳しく解説するが、実釣での綿貫は彼自身力説するこまめなタナのアジャスティングと効果的なサオの振り方を実践し、ウキが立ち上がった直後のウケに連動して小さくチャッと決める鋭いアタリを連続させると、一時は盛期の両ダンゴ釣り並みの爆釣モードに持ち込み、その効果のほどを実証して見せてくれた。

かつて両グルテンの釣りでのエサ合わせは、できる限り仕上がったエサに手を加えない一発合わせを良しとするセオリーがあったが、現在では極めてマッシュの抜けの良い、いわゆる開くエサやカタボソタッチと称されるエサへの反応が鈍くなったため、適度な手直しを加えながらやや開きを抑え気味にしたタッチで決まることが多くなっている。こうした傾向は綿貫自身も充分に理解しており、現代両グルテンの釣りのキモのひとつであるとも断言する。

「正直いうと私自身はボソタッチの大エサという両グルテンの釣りは苦手なのです(笑)。なぜなら、そうしたタッチのエサでは大型の新ベラは捉えられても、既存の旧ベラは釣りきれません。私の狙いはあくまでグルテンに反応するへら鮒であって、新旧を区別したり釣り分けたりするつもりは毛頭ありません。実際にメインターゲットになる旧ベラは、開くグルテン特有のホクホクしたタッチのエサへの興味が乏しいのか、それともエサの残り具合が原因なのかは分かりませんが、確かにアタリがで難いように感じます。
このためエサのまとまり感を増すためのブレンドを軸にして基本的なタッチを決めたら、その後は手水でややシットリさせる方向への調整を加えながらエサを合わせます。このとき注意することは決して強い押し練りは加えないことです。エサをまとめるとはいってもセット釣りで使うクワセタイプのグルテンエサのように、塊になってしまっては集魚力が衰えてしまい無用なカラツンを増加させる原因になる恐れがあるためです。
こうした失敗を犯さないためには、エサ付けが重要になります。基エサは比較的しっかりめのタッチですのでエサ付けはそれほど難しくありませんが、シットリタッチのエサに調整した後は手揉みを程々に抑え、摘まんで丸めたエサの表面を指先で丁寧に転がすことで開きをコントロールします。そして最後はチモトをしっかり押さえることで落下途中で適度に開きながらも、へら鮒が食うタイミングまで持つエサになるのです。
タナがある程度合っているにも関わらず食いアタリがでないときは、このエサ付けが上手くできていない可能性があります。エサが持たないとアタリはでませんが、目指すナジミ際の早い食いアタリを持続させるためには、エサが持ち過ぎてもへら鮒の興味を引きつけられません。充分にエアーを含み、適度に開きながらも食う瞬間までギリギリ持つのが理想ですが、これは寄っているへら鮒の量や動きの程度によって常に変化しますので、ウキの動きを見ながら随時加減することが肝心です。」


綿貫が言うようにへら鮒の寄りがキープされ、順調にアタリが続いているときには一定のエサ付けを繰り返すことで釣れ続いていたが、やや反応が鈍くなりウキのナジミが早くなったときには、エサ付けの際の指先コロコロの回数を減らすと確かにアタリが復活した。更にウケがなくなりかけた際に、使用中の調整済エサに基エサをひとつかみ加えることで直ぐにウケが復活し、再びアタリが続くといったタイムリーなエサ合わせを実践してみせた。
ちなみに綿貫のエサ付けの標準サイズは直径15mm程度。これを基準として寄せを意識したときにはひとまわり大きくし、確実に食わせにかかるときはひとまわり程小さくしていた。
綿貫が目指す速攻パターンを構築するために見逃してはならないのが、彼自身三度あるという食いアタリのパターンである。実際に時合いになったときの食いアタリは両ダンゴ並みに極めて早いタイミングででていたが、アタリ自体は消し込むような大きなものは少なかった。加えて新ベラ特有のムズ、モヤッといった変化系の小さなアタリを追う素振りは一切見られず、タイミングこそ異なるものの、比較的手をだしやすい明確なアタリが出ていたのが印象的である。【※ウキの動きは動画参照】
「最も理想とする食いアタリは、ウキが立ち上がった直後にトップ付け根付近ででる小さくチクッと決めるアタリで、これがファーストチャンスの食いアタリです。私はエサ落ち目盛りを決める際にハリをつけない状態でトップ付根にしています(※ハリを二本付けると3目盛りナジむ)ので、長めのハリスを使っていることもあり、この早いタイミングではエサの位置はまだオモリ周辺を通過して間もなくではないかと推察されます。ここでのアタリが続くときはへら鮒の食いも良い状態で、高釣果になる可能性が大きいといえます。
私は可能な限り早いアタリをだそうと心掛けていますが、すべての食いアタリをこのタイミングでだすことは不可能です。従ってセカンドチャンスとしてナジミきる寸前からナジミきった直後のタイミングも重要視しています。ここでのアタリは初めのものに比べて大きく明確にツンッと入ります。このタイミングではエサの位置はほぼタナに届く感じですが、寄っているへら鮒にあおられながらもエサ自体はまだ動いている状態と判断できます。一応私のなかではセカンドチャンスまでに食わせるつもりで臨んでいますので、この時点でウキに変化がないときは速やかに打ち返すようにしています。特にファーストチャンスのアタリが少ないときは意識的に早めに打ち返すことが肝心です。
そして最後のサードチャンスですが、いわばこれはオマケのようなもので意図的に狙うことはほとんどありませんし、もしここまで待たないとアタらないようであれば、それは両グルテンの時合いではないと判断し、別の釣り方に変更する方が賢明でしょう。但しナジミきったウキが連動する動きの中で上下動を続けているときに限り、やや待つことがあります。これはここで釣ってやろうというよりも、むしろ深くナジませなければアタらないほどタナが下がっていないかという探りのようなもので、もしもこのタイミングで頻繁にアタるようであれば、ここで食わせるのではなく攻めるタナそのものを下げたうえで、ファーストチャンスやセカンドチャンスのアタリが多くでるようにします。そうでなければ速攻の釣りの看板に偽りありということになり兼ねませんからネ(笑)。」

 

 
 
 
 
 
  冒頭でも触れているが、この釣り方はある条件が揃わないと成立しないという。その辺りを詳しく訊ねてみると、
「基本的なことですがここ富里乃堰のように、グルテンに対して反応が良いへら鮒が多いことが絶対的な条件です。釣り場によっては放流された新ベラでさえグルテンでは釣りきれないことがあります。もちろんそうした釣り場では両ダンゴやウドンセット釣りなど他の釣り方で普通に釣れるので、無理に両グルテンにこだわる必要はありません。私の基本的なスタンスは競技というシチュエーションで、目指す釣果が期待できる釣り方を選択することですので、効果が望めない釣り方をゴリ押しするつもりはありません。
さらにグルテンで釣れたとしても、ボソタッチの大エサを主体とした新ベラ狙いの釣り方でなければ釣れないようではこの釣り方は成立しません。できればまとまり感のあるグルテンで、ウキの動きのイメージとしてはヤワネバ系の両ダンゴで釣れる感じであればベストです。なぜならターゲットにエサを揉ませて食い頃にする釣り方ではなく、あらかじめ食い頃のエサを確実にタナに送り込んで一発で食わせることを狙っていますので、基本的には盛期の両ダンゴ釣りのようなイメージで釣れるところがベターです。
釣り期としてはこれから旬を迎える釣り方ですが、概ね良い反応が期待できるのが11月上旬から年内一杯。さらにグルテンへの反応が良い釣り場では春先から5月上旬くらいもベストシーズンで、丁度ウドンセットから両ダンゴに切り替わる過渡期に充分期待できると思います。 それから一般的な新ベラ狙いの両グルテンとの決定的な違いですが、混雑は避けた方が無難です。確かに大型の新ベラを狙うには旧ベラが分散されやすい休日などの混雑時の方が有利ですが、旧ベラをメインターゲットとするこの釣り方では、混雑で既存の旧ベラが取り合いになる状況下では、寄せる力においてハンデキャップを背負うことになるので不利と言わざるを得ません。できれば空いているポイントで、しかも近隣と釣り方が揃わない方が望ましいといえます。」

 
   
 
 
  今回の取材では両グルテンでも両ダンゴ並みに早い釣りが可能であることが確認できたことに加え、同じ釣り場で、しかもほぼ同じエリア内で釣り座を替えて実釣を行ったところ、僅かなポイント差でウキの動きに大きな違いが見られたことが大変興味深かった。
「これこそがこの釣り方の面白いところであり、怖さでもあるのです。まったく同じタックル・エサ・アプローチで臨んだにも関わらず、明らかに釣れ方に違いがありましたが、決まると爆釣できるポテンシャルがある釣り方であることは証明できたと思います。
但し、決まらないと極めて厳しい状況に追い込まれることも否定できない、いわば両刃の剣的な側面も併せ持っています。今回紹介させていただいた両グルテンの釣りは、新ベラだけをターゲットとする釣りに比べれば確実に釣果の上がる釣り方ですが、それでもズッコケることも決して少なくありません。しかし充分勝負になる力もありますので、機会があったら、また良い条件が揃うチャンスに恵まれたときには是非チャレンジしていただきたいと思います。
繰り返しになりますがポイントは“ウケ”をだすことです。これができれば爆釣の可能性大。両グルテンでも決して怯むことなく、深まる秋をホットな攻撃的な釣りで楽しんでください。」

 
   

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