へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第32回 伊藤さとしが教える 盛期のびん沼川攻略法! Chapter2 止めて食わせるバラケにヒゲトロのセット釣り


   
 


   
ここでは両ダンゴの釣りから変更されたハリス・ハリ・ウキについてのみ解説する。ポイントは勿論「止めて食わせる」セッティングである。
 
■ハリス
短バリスが基本のヒゲトロセット釣りであるが、近年管理釣り場で標準とされる長さよりも若干長めにするのがポイント。太さと長さの基準は上=0.5号−10cm/下=0.5号−15cm。これはほぼ固定され、両ダンゴのときのようにこまめに長さを変えることはない。
 
■ハリ
上バリはオーナーばり「バラサ」7号を基準とし固定。下バリはヒゲトロ専用のオーナーばり「とろ掛」5号を基準とし、これも変更はなし。いずれもハリスが結ばれた糸付きバリを使用。

■ウキ  
ここでもエサを完全にナジませて「止めて食わせる」アプローチを目指すため、それに適したパイプトップウキを使うのがびん沼川スタイル。ちなみに伊藤は一般的な管理釣り場ではPCムクトップウキを使い、ややエサを動かしながら(追わせながら)釣ることもあるが「郷に入っては郷に従う」のが全国各地の色々な釣り場を渡り歩いている伊藤らしい選択だ。
 
 
 
 
支度が整った伊藤は、タナを両ダンゴのときよりもウキ1本分程度深くしてリスタート。バラケはまずは集魚力の高い、今シーズン伊藤が一押しというカタボソタイプでエサ打ちをスタートした。
「両ダンゴでもヒゲトロセットでも、タナを意識することは同じこと。ただし、釣りのアプローチはそれぞれ異なり、両ダンゴがエサを動かしながら追わせるのに対し、ヒゲトロセットではエサをナジませて動きを止めた状態で食わせるアプローチが、ここの釣り場には適している。 それからバラケはタイプの異なる2パターンを用意し、どちらが良いかを打ち比べるのが良い。最近の傾向としては以前のようなダンゴチックなバラケよりも、ややダンゴ風なタッチを残しつつも硬めのボソタッチバラケが良いね。今日使っているボソ系のバラケも凄く良くて、間違いなく今シーズンのヒゲトロセットを席巻すると思うよ。」
その言葉が終るか終らないうちに、ナジミきったトップの先端がスパッと水中に消し込んだ。遅れることなくアワセが決まると、キュキュンと糸鳴りを響かせて一気に沖走りする。それをあしらう伊藤の動作からは、それが良型のへら鮒であることがうかがえる。
「肉厚のコンディションの良いへら鮒だよね。この型が揃うのがヒゲトロセットの魅力のひとつ。恐らくエサを止めて釣ることで、動いている両ダンゴでは反応する中小のへら鮒が興味を示さなくなり、代わってタナに入ってくる良型がバラケに接近し、粒子が被ったトロロが目の前に来ると、つい我慢できなくなって吸い込んでしまうんだろうね。それだけにタナ合わせは重要で、今日は両ダンゴのときから感じていたんだけれど、食い気のあるへら鮒が回遊してくるタナがやや深い感じなんだ。だからウキ下をやや深めにとって、なおかつしっかりタナにバラケを入れた後のウキの戻し際、つまりバラケの粒子がトロロに被ったタイミングで出るアタリに狙いを絞った方が良さそうだ。」
両ダンゴとは真逆といって良いアプローチで始めたヒゲトロセットだが、伊藤の解説通り、毎投トップ先端ギリギリまで深ナジミしたウキは、頻繁に左右に流れが変化するなかでも小気味の良い消し込みアタリを連発。しかもヒットするへら鮒の型がひとまわりサイズアップし、中には黄色味がかった尺超級の地ベラも顔を出すようになったのだ。

 
 

今回の取材では、解説力に定評のある伊藤自身に、実釣中の一投毎に解説を入れてもらった。これの意味は、読者の皆さんが最も知りたがっている部分でもある釣りの組み立て方に迫るため。つまり文字やイラスト、映像を駆使しても非常に理解し難い部分である「ナゼそうするのか?」「どうすればアタリを出すことができるのか?」という部分をリアルに紹介したかったためである。幸いに伊藤の言葉と腕のお陰で、ウキを動かしアタリに導く手順を上手く映像に残すことができたので、是非参考にしていただきたい。
「ヒゲトロセット釣りは、とてもシンプルな釣りなんだ。両ダンゴのようにハリスやハリをこまめに替える必要はないし、エサのタッチもそれほど難しくもない。しっかりウキをナジませてからの強いアタリだけを狙えば良い。それだけに一投一投に明確に狙いと意味を持たせることが大切で、ただ漫然とエサ打ちを繰り返しすことだけは避けなければならない。たとえばサワリなくナジんだ次の一投はやや沖めに打ち込んでバラケを促進したり、空アワセした際のトロロの残りが少ないときはハリに巻き付けて打ち込んだり。良いアタリで空振ったときはバラケの開きを抑えるために丸く丁寧に付けたりと、次の一投には必ず前の一投の結果(情報)が活かされなければならないんだ。 どうしたらアタリをだすことができるのか?と考えたとき、いま自分が何をすべきかを判断するのに必要なのは水面下のイメージであり水中からの情報だ。ウキの動きが比較的規則的なこの釣りは、そういっ た意味ではイメージもしやすいし、ウキが発信する情報を読みやすい釣り方と言える。たとえば上下のハリが完全にナジミきると、上バリのバラケの粒子が下にあるトロロに降り注ぎ、被さるように繊維にまとわりつく。こうなるとへら鮒は警戒することなくトロロを吸い込むようになる。ヒゲトロセット釣りは、この水中イメージを持つことが肝心で、今回のようにタナが浅い場合はなおさらのこと、ウキのナジミ具合でエサの位置やハリスの張り加減をイメージしやすいので、アタリも落ち着いて選べるので、コツさえつかめば誰でも釣れるはずだよ。」
 
 
  迷わずヒゲトロセットでアタリを復活させ、見事びん沼川攻略法を披露してくれた伊藤であるが、こちらはびん沼川に限らずどこの釣り場でも通用する汎用性がある釣り方とのことで、これからのシーズン釣り方に迷ったら、是非迷わずヒゲトロセット釣りにチャレンジしていただきたい。では改めてそのポイントをまとめてみよう。
ポイント1:アプローチはウキをしっかりナジませ、タナでエサを止めて食わせる釣りを基本とする
ポイント2:エサはペレット粒子を含んだボソタッチが決め手
ポイント3:ウキは浮力のマッチした、エサを止めやすい(バラケを抱える)パイプトップ
ポイント4:ハリスは短バリスを基本とし、ほぼいじらない
ポイント5:ヒットチャンスは1回に絞り込む。アタリはエサをぶら下げてからが勝負
ポイント6:ナジミ際のサワリが減ったら振り切り気味で打ち込み、タナにへら鮒を呼び込む
ポイント7:アタリが減ったらタナを上下に調整(ウキ1本分程度)

概ねここまでがヒゲトロセット釣りのポイントだが、それ以外にも重要なことがあるとまたまた付け加えたのが・・・

ポイント8:「これでダメなら、迷わずバラケに一発の段差釣りかな?」

ということで、近日発売予定の「Sピンク(段差釣り用一発セットバラケ)」を使った伊藤のバラケに一発の段差釣りも見てみたかったが、それはまた別の機会に取っておくことにしよう。
 
 
   
 
   
  さて、両ダンゴとヒゲトロセットで見事びん沼川を攻略した伊藤の釣り。同じ釣り場の同じヘラブナでありながら、エサを動かしながら食わせるというアプローチとエサの動きを止めて食わせるという、いわば対極にある釣り方を駆使して見事に釣りきって見せてくれた。実はこれこそがびん沼川攻略の最も重要なカギであり、否応なく変化する時合いを的確に察知し、タイミング良く切り替えることでロスを抑え、釣果アップにつながるという訳だ。 日本各地を釣り歩く伊藤のスタンスは、自らのパターンに無理矢理はめ込もうとするのではなく、最も釣れるパターンはその釣り場の魚に訊くという、へら鮒釣りの原点を決して忘れない姿勢に軸を置いている。そう言った意味では地元びん沼川のへら鮒には、きっと多くのことを訊いたに違いない。是非皆さんも日本一の野釣り場であるびん沼川に足を運んでいただき、両ダンゴとヒゲトロセットの二刀流でチャレンジしてみてはいかがであろうか!

 

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