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常に混雑によるハイプレッシャー下で釣りをするサンデーアングラーにとって、厳寒期はいつにも増して厳しい釣りを強いられる。多くの釣り人で賑わう日曜日、ただでさえ食い渋っているへら鮒は、水温が低下する厳寒期にはほとんど口を使わなくなり、食い渋りという表現が陳腐に聞こえるくらいウキは沈黙する。当然ながら並みの釣り方ではアタリを出すことすらできない。そこで今回は厳寒期における混雑時の食い渋りを克服する釣り方にクローズアップ。アングラーはマルキユーインストラクター内島康之。サンデーアングラーを代表する彼が、厳しい状況だからこそ威力を発揮するという、寒さにも混雑にも負けない沖め狙いの浅ダナウドンセット釣りを披露する! | |
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常日頃厳しい釣りを強いられるサンデーアングラーのなかでも、ひときわ安定感のある釣りが印象的な内島のフィッシングスタイル。決してガツガツする訳でもなく、取り立ててスピードが速い訳でもないが、その戦略眼と卓越したテクニックを駆使し、盤石の備えで確実に釣果を上げている。そんな彼をしても厳寒期の釣りは一筋縄ではいかない難しさがあるという。 「強いプレッシャーがかかる日曜日の釣りでは、小手先のテクニックだけでは到底釣りきることはできません。ましてやへら鮒の動きが止まる厳寒期においては、並んで同じレンジを狙っていたのでは限られた魚を奪い合うだけで勝負になりません。そこで少しでもアドバンテージをとるためには、食い渋っているへら鮒のなかでもコンディションが良いもの。つまり新べらや旧べらのなかでも食い気がある良型のものを狙う必要があります。自分の経験ではこうした釣りのターゲットになるへら鮒は沖めに居着く傾向なので、特にそうしたクセのある釣り場では迷わずミドルレンジを狙いますね。」 どんなに数多くのへら鮒が居たとしても、まったく口を使わないのでは話にならない。組み立て方は二の次で、とりあえず口を使うへら鮒が少しでも多く居るところを狙うことで、初めて厳寒期の釣りはスタートラインに立てるという内島。確かにこの時期の釣りでは長めの竿を使った浅ダナの釣りで好釣果が上がることがあり、場所によっては21尺タナ2本とかいった特殊な釣り方で大型新べらばかり釣れたという話も耳にする。さては、今回内島がやろうとしているのはこうした釣り方なのだろうか? 「確かに私自身そうした釣りもやりますが、アングラーのテクニックもさることながら、そうした特殊な釣り方で好釣果をあげるには、余程の条件が揃わないと難しいでしょう。そこで今回はもっと手軽というか、普段の釣行時にも簡単に試せる中尺・長尺域の浅ダナ(※タナ1.0〜1.5m)を狙ったウドンセット釣りを紹介します。これも釣り場によっては効き難いところもありますが、メジャーな管理釣り場であれば大抵は通用しますので、是非覚えておいて損のない釣り方です。」 今回の実釣フィールドは茨城県古河市にある三和新池。昨秋のリニューアルオープン以来大量の新べらが放流され、昨シーズンよりも高釣果が記録されているが、やはり混雑時は宙底ともに長竿傾向になっているようだ。しかし、むしろこれは取材には好都合。沖め狙いの浅ダナ釣りがマッチするという東桟橋奥に向かった内島は、新べらを数多く混ぜようと迷わず15尺を取り出した。 |
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![]() 「そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ。12〜13尺といった中尺竿から始めて徐々に長い竿で練習をすれば慣れると思います。それに単に長ければ有利かといえばそうではなく、とりあえず簡単にアタリが出るところを攻められる長さがあれば良い訳で、それ以上長い竿を出す必要はありません。ただしアタリはあっても釣れるへら鮒がガサベラばかりである場合やカラツンが異常に多い場合は、さらに長い竿で沖を攻めた方が良いでしょう。このときばかりは高い操竿技術が求められますので、手軽な短竿の釣りばかりではなく、いざというときのために日頃から練習を積んでおくことも必要でしょう。」 今回内島は迷うことなく15尺という長さを選択したが、これは当日の入釣ポイントの実績と混雑具合、これに彼の経験値が加味されて導き出されたものである。実際に開始直後のいきなりの入れ食いを見る限り、この竿の長さの選択はベストに近いものと思われた。しかし、その後急転した釣況に遭遇した内島は「もっと長い方が安定したかも知れない...。」と呟いていが、これが例会や大会であったならば、恐らく彼は迷わず19尺に切り替えたに違いない。もちろん如何なるときにも速やかに対応できる準備を整えておくことは、サンデーアングラーの心構えであり宿命であろう。 |
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タナの捉え方に関して決定的に違うのが、短ザオの釣りでは規定一杯の浅ダナ(※一般的にはウキ止めゴムから第一オモリまで1m)に固定し、途中でウキの位置を上下させることはないのに対し、沖め狙いの釣りではウキを上下させることが戦略のひとつとなっている点だろう。これは短ザオの釣りのターゲットが旧べら主体であり、できるだけ浅い方が釣りやすいことからタナを下げるメリットが無いからに他ならない。 「今回釣りを始める際のタナを約1.2mにしましたが、これは経験上良いへら鮒がやや深めのタナに居着いていることが多いからです。とくに新べらの放流がひと段落した現在、規定一杯の浅ダナには新べらよりも旧べらの方が多いはずです。しかもそれは食い気の乏しいガサベラの可能性が高く、これを相手にするといささか厄介です。釣りは簡単な方が良いので、無理に食い気の乏しいへら鮒に口を使わせようとはせずに、食い気のある素直なへら鮒だけをターゲットにした方が釣りやすいはずですからね。」 確かに内島が言うように、この日は釣れ始めから新べらが数多く混じっていた。そしてモーニングサービスがひと段落すると食い気のないへら鮒が寄ってしまい、上層での受けや止が目立つようになり、アタってもヒット率が悪く、釣れても目に見えて型が落ちてしまった。そしてアタリが途切れがちになった際に10cm程度タナを下げると、それだけでアタリが復活し、さらにタナの微調整を加えると再び良型の新べらが釣れるようになったのである。こうしたタナのアジャスティング(※いわゆるエレベーターの釣り)は、管理釣り場での短竿の浅ダナ釣りしかやったことがないと、なかなか思い浮かばない発想だろう。 ![]() |
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本来沖め狙いの浅ダナウドンセット釣りは、完全にバラケを残した状態でアタリを待つ、いわゆる持たせ系のアプローチが主流であり、そのターゲットは新旧問わずコンディションの良い良型のへら鮒に絞られる。この釣りでは基本的なセッティングがややヘビーに仕上げられるため、決まれば大型べらばかりが揃う豪快な釣りが可能になるが、ターゲットがポイントに居ないとまったく釣りにならないなど、安定感に欠ける点がデメリットである。今回内島が見せてくれたアプローチは、これに短竿の浅ダナウドンセット釣りのライトなセッティングを融合させたもので、いわば従来型の釣りの欠点を補うハイブリッド釣法である。おそらくサンデーアングラーとして常に厳しい状況での釣りを重ねるなかで見出した釣法に違いないが、アタリを出すための手法がきわどい釣りに向かわずに、正攻法で臨んでいるのがいかにも内島らしいアプローチである。 「とにかく冬場の釣りは、混雑するとアタリを出すことすら容易ではありません。とくに同じ釣り方をしていると共倒れになることも少なくなく、折角の休日の釣りが台無しになってしまいます。しかし、 そうしたなかでもターゲッ ![]() |
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