へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第54回 伝家の宝刀 チョーチンウドンセット釣りがさらに進化!「セットアップ」が可能にする 杉本智也の超高精度ションクロモーション釣法


現代セット釣りにおいて無類の強さを誇るチョーチンウドンセット釣り。この釣りを最も得意とし、自らも伝家の宝刀と公言してはばからないマルキユーフィールドテスター杉本智也。今回は彼のチョーチンウドンセット釣りを、あえてこのセット釣りの端境期といわれる時期に取り上げるが、その理由は難攻不落といわれる現代ウドンセット釣りにおいて奇をてらうことなく、むしろ真正面から立ち向かおうとするストロングスタイルの彼のアプローチに着目したからだ。多くのアングラーがバラケを抜いたり持たせたり、はたまた選択に迷うほど取り揃えた多種多様なくわせエサを使い分けることで、かろうじてヒットパターンをつなぎ止めているなか、へら鮒釣りの基本といわれるナジマセ釣りをかたくなに踏襲し、しかも抜きん出た結果を残している杉本流のチョーチンウドンセット釣り。実釣で魅せたそのフィッシングスタイルは、既にセット釣りの必携エサとして多くのファンに支持されている「セットアップ」を手の内に入れ、アプローチもまたさらに進化し強さも増していた!  
   
狙ったタナまでくわせエサが届く前に、意図的にバラケを抜いてしまう「抜き系(ゼロナジミ)」といわれるアプローチや、これとは真逆のアタリが出るまで(※正確にはエサに食いつくまで)バラケを上バリに残しておく「持たせ系」といわれるアプローチが主流を占める現在のチョーチンウドンセット釣りだが、こうした両極端に偏るアプローチが支持される背景には、昔からスタンダードとされてきたバラケをナジませてからタナで抜くという、従来の釣り方が難くなってきた現状がある。つまりバラケをタナまで持たせたうえで自分の意図するような開かせ方ができなかったり、はたまた持たせたくても持たなかったり抜きたくてもタイミング良く抜けなかったりするケースが明らかに増してきたのである。そんな時代のなかでも丁寧にバラケをナジませ、ウキの戻し際のアタリで確実にヒットさせていく杉本のチョーチンウドンセット釣りは、奇異といっては語弊があるかも知れないが、現代においてはかえって特別な釣りとして目に写ってしまうのは記者だけだろうか。
「抜き系、持たせ系とまったく別物のように言われていますが、アプローチは違っても実はその狙いは同じであって、要はバラケとくわせエサをいかにシンクロさせるか、そしてその精度をいかに高めるかにかかっているのです。そうした狙い(目的)を果たすためには、同じく精度の高いエサ使いとタックルセッティングが必要ですが、私には私なりのものがあり、人にはその人なりの必ず合うアプローチとセッティングがあるはずです。おそらく上手く釣れない人の多くはそのバランスが崩れているためで、大切なポイントさえ押さえれば必ず釣れるようになるはずです!」
釣れている人と同じようにやってみても上手く釣れないということは往々にしてある。記者にもビギナーの頃に覚えがあるが、同じように釣ろうと思ったら目標とするアングラーの完全コピーに徹するしかないと悟ったことがある。実際にたとえ真似であってもその精度が高まると釣果も伸びたが、それを超えようとすると必ず自分流として最高にマッチするものを探し出さなければならない。つまり最後は個々にマッチしたセッティングを煮詰める以外方法はないのだが、そのための手本となる考え方やテクニックがこの後紹介する杉本の釣技に散りばめられている。 取材は4月下旬の友部湯崎湖。直近の釣況について情報が乏しいという杉本は、まずは時期的にみてセット釣りから両ダンゴに切り替わる端境期の気難しいへら鮒が相手になることを見込み、ややライト系のアプローチでスタート。ところが徐々に躍動感を増すウキの動きから盛期向きのアプローチでもイケると判断すると、その後は本人も「この時期これだけ決まることも珍しい!」と驚嘆の声を上げるほどの釣況に激変。もちろん同湖のへら鮒のコンディションの良さもあるだろうが、強さのなかにもきめ細やかな対応が行き届い た、杉本流のストロングスタイルのアプローチが導火線となった爆釣劇であったことは紛れもない事実である!


   
■サオ
ウドンセット釣りに限らず、チョーチン釣りではタナの選定が大切だと杉本は言う。つまりエサのタッチだハリスの長さだという前に、食い気のあるへら鮒が居るタナを攻めることができる竿の長さを選択することが先決だということだ。これからの時期は釣り場規定最短尺よりも1尺長いものでスタートするのが基本。これは最も攻められ気難しくなっている最短尺レンジのへら鮒を避け、その下層に入ってくる比較的素直なへら鮒をターゲットとするためだ。またどうしてもウワズリを制御することが困難なときに、竿を1尺短くしてタナを浅くすることができる余裕を持たせておくことも、トーナメントシーンでは精神的に優位に働くという。奇しくも取材時は、狙い通り最初に選択した8尺で鬼決まりとなった訳だが、ちなみに厳寒期ではさらに深いタナも視野に入れ、釣り場で最も無理なく口を使ってくるへら鮒が溜まっているであろう、やや深めの中尺竿のレンジをピンポイントで攻めることが多いという。
 
■ミチイト
時期やアプローチによって太さを変えることで、主にウキの動きに干渉することなくアタリを確実に伝えることを意識している杉本。特にウキの動きから水中のへら鮒の動きをすべて読み解き、アジャスティングの方向性を決める道標としている彼にとっては、ナイロンラインのなかでも比較的硬めで張りのあるミチイトは必須アイテム。取材時も竿の長さを変えずにウキだけを交換するという流れになったのだが、このとき端境期用から盛期用へと仕掛けごと交換して、やがて訪れた爆釣の時合いにストレスなく対処できる態勢を整えていた。地味ではあるが、こうしたきめ細やな対応の積み重ねが杉本流の釣りの根幹を支えているのだ。
 
■ハリス
上ハリスの0.5号-8cmはほぼ固定という杉本。ただしバラケとくわせエサのシンクロ精度を決定づける下ハリスは慎重に調整を図る。基本となる長さは厳寒期で50cm、端境期で40cm、盛期では35cm。それぞれの調整幅は±5cm〜10cmに止め、これ以上になりそうな場面ではウキを交換してタックル全体の沈下速度をコントロールする。またハリスワークで大切なことは、ウキの動きに満足できなかったときは躊躇することなく交換することだと言う。そのうえで効果が見られない場合、または動きが悪くなったときには一旦元に戻し、改めてハリス調整を加えるか別の対処法を検討する。彼の目にはこうしたマメな対応をとれない(※分かっていても億劫がっている)アングラーが多いと映っているようで、とにかく動いてみることが大切だと力説していた。
 
■ハリ
機械的とも言える緻密さで繊細な組み立て方を信条とする杉本のチョーチンウドンセット釣りだが、唯一人間臭さが感じられたのがライトタックルで使用していた上バリの選択だ。もちろん機能的な裏付けもあるのだろうが、記者の問いに対し「メジャータイトルを獲ったときに使っていたもので、それ以来愛用しているいわばゲン担ぎ!」というコメントが、決して“へら釣りマシーン”ではない彼の人間性を象徴していて好感が持てる。また盛期仕様の上バリは麩系バラケエサの持ちに重点をおいて開発された「アラシ」を愛用。下バリは「クワセマスター」を常用し、へら鮒の活性に合わせてサイズを選択している。

■ウキ  
今回杉本は新たな戦力を携えて取材に臨んだ。それは食い渋ったへら鮒が相手となる厳寒期や、気難しいへら鮒がターゲットとなる端境期のチョーチンウドンセット釣りに照準を当てた新製品、忠相「ネクストアプローチ」だ。ラインナップにはPCムクトップバージョンとグラスムクトップバージョンがあり、PCがNo.5〜No.9の5アイテム、グラスがNo.6〜No.11の6アイテム。今回は予想される状況を加味してまずはPCバージョンNo.6でスタート。予想よりもやや活性が高いと見るや一旦エサ落ち目盛りを2目盛りほど多く出す調整を加え、それでもやや無理があると判断すると同タイプのNo.7にサイズアップ。これで一時は安定したかに見えた時合いも、さらにへら鮒の活性が高まるとバラケをナジませることが難しくなり、ここで思い切って盛期の釣りのスタンダードであり、自他共に認める“伝家の宝刀”忠相「ネクストゾーン」No.9にすると、この英断に湯崎湖のへら鮒が“正解”を認め、本格的なシーズンインを前に盛期でもお目にかかれないくらいの爆釣モードへと突入したのである。このように杉本の釣りはウキを中心にして組み立てられている。つまり彼が目指す精度の高いバラケとくわせエサのシンクロモーションを実現するためには、ウキにより方向性を固めておくことが大切なのである。

 
 
 
杉本の釣りの強みは軸がブレないストロングスタイルにあるが、それは決して意固地な頑固さでもなければ融通の利かないキメキメの幅の狭いものでもない。むしろ懐の深さを感じる汎用性のあるスタイルであり、状況に応じてどの方向にも転換できる柔軟性が際立っている。
「たくさん釣るためには何が何でも釣りを決めようとしがちですが、まずここに落とし穴があります。私の場合、ある程度予想される釣況を考慮して基本となるアプローチを決めます。たとえば厳寒期であれば、やや早めにバラケを抜いてくわせエサ だけでサソいながらアタリを待つアプローチが有効になるだろうと予想し、微細なサワリが読みやすく、またサソいやすいグラスムクトップのウキをセットします。そして、そのアプローチの基本セッティングからスタートし、少しずつ状況に見合ったバラケ・くわせエサ・タックル等のアジャスティングを煮詰めて行きます。今回のような端境期の気難しいへら鮒を相手とするケースでは、一旦はバラケを持たせてウキを深くナジませたうえで、バラケが残っているうちにアタリが出るのか、それとも抜いた方が良いのか。さらに抜いた方が良い場合はどのタイミングで抜けば最もアタリが出るのかを探るといったように、この釣りのなかでは最も幅の広い対応が求められるので、汎用性のあるPCムクトップウキを軸にして釣りを組み立てるようにしています。今回はこのアプローチを想定してスタートしましたが、結果的にはへら鮒の食いがすこぶる良くなったことで、盛期並みにバラケを持たせる強い釣りに転換することで良い感じで釣れ続きましたが、もちろんこれが逆のパターンになることもありますし、行ったり来たりを繰り返すやっかいなパターンで終始することもあります。しかし、こうした対応を億劫だと思ったり面倒臭がったりしてはいけません。狙いを明確にすることはアングラーの意志ですが、その後の方向性はあくまでへら鮒が決めるものなので、アングラーサイドの考えを無理矢理押し付けるのではなく、常にウキの動きを通してへら鮒に訊くことが大切なのではないでしょうか。」

この釣りで何が最も大切なことかと訊ねたら、こう即答した杉本。
「何をおいてもウキを深くナジませ、バラケを確実にタナに送り込むことです。これを確実に繰り返すことで狙ったタナにへら鮒を寄せることができ、一旦釣れ始まると安定的に釣り込むことが可能になるのです。ただし単にナジませれば良いという訳ではないところが多くのアングラーを悩ませるところで、ポイントはバラけるエサをタナで開かせ、へら鮒の食いの状態に合せてくわせエサとシンクロさせること。言葉にすれば簡単ですが、これができれば確実に食いアタリにつながります。」
しかし、開きの良いバラケをタナまで持たせて開かせるという、相反する狙いを両立させるのは難しいのではないのか?
「確かにその通りですが、その難問を解くカギが『セットアップ』にあるのです。つまり持たせやすく抜きやすいバラケエサが『セットアップ』をブレンドすることで簡単に作れるのです。私も『セットアップ』が出る以前は他の麩材を使っていました。自分なりに使いこなしていたバラケエサなのでかなり自信を持っていたのですが、『セットアッ プ』をベースにしたバラケエサを試したところ同じように良く釣れ、初めてにも関わらず無理なく扱えたので、それ以来私のチョーチンウドンセット釣りには欠かせないエサになりました。」
こう話す杉本だが、特に気に入っているのがストレスフリーのコントロール性能だという。つまり、エサ付け前の手もみの回数で持たせ加減が容易に調整でき、寄せるへら鮒の量は大まかに3タイプに分けたエサ付けサイズ(大=直径20mm前後、中=直径17〜18mm、小=直径15mm前後)の使い分けでコントロールしている。しかもこれからへら鮒の活性が高まる時期においても、ナジませ難いとされるバラケエサをやや角張らせてエサ付けし、着水時に散った粒子に表層のガサベラを引きつけておき、その隙にバラケ本体をタナに送り込むという難しいテクニックも容易にこなすことができると、今や「セットアップ」を完全に手の内に入れて使いこなしている。 知っての通りセット釣りにおけるバラケのエサ付けは極めて重要であり、難易度の高いテクニックである。企業秘密ではないが、アングラーによっては“秘中の秘”としてそのテクニックをあからさまに見せないことも多いが、そうした重要なポイントをあえて隠そうとはせず、むしろ見やすいようにとスケルトンタイプのエサボウルを使っているところも、ワークスアングラーとして活躍する杉本らしい心遣いだ。ちなみに同じエサボウルは既に販売されておらず、水に沈んでしまうことも本人悩みのタネとなっているというが、あえて杉本流のエサ付けの妙が一般公開されている現在、彼の釣りを見る機会があったら是非その中身を覗いてみて欲しい。もちろん直接訪ねることもウェルカムだ!
 
 
何事においても無理は禁物だが、特にストレスなくバラケをタナに送り込むことは、それだけでバラケとくわせエサのシンクロ精度アップにつながるので、極めて大切なポイントと言えるだろう。杉本はこの釣りのキモだというこの点について、精度を高めるためにはすべてのバランスが取れていないと実現不可能だという。実釣時の時合いまでのプロセスは前述の通りだが、重要と考えられるハリスワークに頼りきった感は見られない。杉本にとってハリスワークは、いわば最後の仕上げのようなものと言えるだろう。 一般的にはウキを変えることなく数cm単位でハリスの長さを変えることでベストの長さを探るアングラーが多いが、その範囲は人によって異なるものの、大抵は20〜30cm程度の調整幅があるのではないだろうか。ところが杉本の場合はひとつのウキで決めてある基準値に対する調整範囲は概ね10cm程度で、これを超えるケースではまずはエサ落ち目盛りの調整やウキの交換を行い、さらに変えたウキの基準値に対して同じく10cm程度の範囲でアジャストしている点が特徴だろう。ハリスワークをこうした狭い範囲に止めていても、確実にその効果がウキの動き(アタリ)につながるのは、バラケをタナまでナジませて釣ることで集魚レンジが圧縮されている証拠であり、これ無くして釣りきることは不可能であろう。
「バラケとくわせエサをシンクロさせることは、この釣りの最重要ポイントです。すべてはそのための準備であり対策なので、少しでもその精度を高めることに意識を集中させる訳ですが、なかでもハリスワークは必要不可欠な重要なテクニックです。極端に短いハリスや長いハリスを得意とする人もいますが、見ての通り私のハリスは長くも短くもありません。こうした違いはウキの選定方法であったり、他のタックルやエサ、バラケの持たせ方や抜き方といったアプローチの違いが起因しているものと思われますが、極端に偏り過ぎると釣れるときと釣れないときの波が激しく安定性に欠けるなどのリスクも大きくなるので、私は常にニュートラルな状態でトータルバランスを取ることに注力しています。」
ここにも杉本流のストロングスタイルの一端が垣間見える。当たり前のように言われているトータルバランスの重要性だが、大切なのは見てくれのバランスではなく、状況にマッチしたウキを軸としたバランスであり、当然のことながらウキが変わればすべてが見直されることは明らかだ。こうしたことを徹底することでハリスの長さを変えただけの、いわば目先の変化で釣るような安易さが入り込む余地はなく、常に安定した強い時合いが構築されるのである。
 
   
アタリの取り方にも無理や偏りが見られないのが杉本流のチョーチンウドンセット釣りの特徴だ。近年流行しているシャクリ釣りや完全ゼロナジミの釣りで見られるような向こうアワセや、ハリスが倒れ込む際に見られる変化系の小さなアタリは無論アワせない。というよりもそうしたアタリが出難いセッティングになっているので、当然ながら狙うアタリは明確なものになる。その動きをひとことで表現するならば「ナジんで、戻して(吊り上げて)、ドンッ」という感じだろうか。実釣では、前半はPCムクトップウキを使ったややライト系 のセッティングで、トップ先端近くまではナジませるものの、バラケは比較的早めに上バリから抜け落ち、くわせエサだけになった状態でソフトな縦サソイを数回繰り返す間に出る明確なツンアタリが圧倒的に多かった。そして活性が高まった中盤から後半にかけては太めのPCムクトップを使った盛期仕様のセッティングで、トップが沈没するくらいに深くナジませた直後、やや強めに竿先をあおってバラケを促進。トップが水面上に出たところからトップの付け根が水面上に出るくらいの縦サソイを繰り出すと、その再度のナジミ際、もしくは一旦ナジミきったトップの戻り際にドンッ、ズバッと力強く水中に飛び込むアタリを連発させていた。
「タナができればこうした単純明快なアタリが持続するのがこの釣り方の特徴ですので、まずは安定したアタリが出るよう集魚レンジを作り上げることが肝心です。そのためには深ナジミは絶対条件。アタリが無いときはもちろんですが、アタリを取る際にも注意が必要で、打ち込んだエサがナジんでいく途中のアタリは極力見送り、最低でもバラケがタナに入ってからくわせエサがナジミきる瞬間。理想は深ナジミしたウキが2〜3目盛り戻した直後に出るドンッです。」
パターン化されたウキの動きを見ていると、なるほど強い釣りであることが分かる。ハッキリとしたサワリを伴いながらも毎投ドップリとナジんだトップが戻すと同時に、まるで整列したへら鮒が順番にエサに食いついてくるかのごとくアタリが続き、引きの強い良型のへら鮒が次々と玉網に納まって行くのである。
 
 
 
 
 
 
  エサ付けのサイズや形状を変えたり、ハリスの長さを変えるといった細かな調整はもちろんのこと、使用しているバラケのブレンドをまったく違うものにしたり、ウキのサイズやタイプ、竿の長さといった大胆な変更もへら鮒釣りにはつきものだが、そうしたことをやらなければいけないと分かっていても、存外やりきれていないアングラーが多いと杉本は指摘する。
「練りに練った作戦で臨むメジャートーナメントの決勝戦であっても、スタート時のセッティングで最後まで釣りきれることはありません。もちろん日々のプライベートの釣りであっても同じことで、むしろ調整や変更を加えながら、その日そのときでベストの釣りを目指すのがへら鮒釣りの醍醐味であって、何も手を加えずとも一発で釣りが決まるようでは、これほどの面白さは味わえないのではないでしょうか。私が日頃から心掛けているのは『思い立ったら即行動に移す。ダメなら元に戻る。』ということです。釣り場で周囲を見ていて感じることは、思ったことを口に出していても、実際には行動まで至っていないアングラーが多いことです。また、そうした人は一日の釣りが終わった後で『あのときこうすれば良かった、ああすれば良かった』と必ず愚痴をこぼしたり、後悔の言葉を口にしたりしています。そうしたことを繰り返さないためには、とにかく実行あるのみ。動けば何らかの答えは出ますし、たとえ望む結果につながらなくてもその結果に納得できるでしょう。そしてそれは自分自身の引き出しとして蓄積され、いつか必ず役に立つことがあるはずです。」
杉本のアドバイスは記者にも覚えがあるだけに耳に痛い。こうしたことが自然と実践できている人は、年々変化を遂げるへら鮒釣りに遅れることなく追従できるタイプであり、できない人は自分で気づかぬうちにいつの間にかガラパゴス化してしまい、時代に取り残されてしまうタイプ。さて、貴方はどちらのタイプだろうか?
 
 
 
 
 
 
杉本の釣りを目の当たりにすると、ウキを深くナジませることがへら鮒釣りの基本であり、それに基づく正攻法が最も強い釣りであることを、今さらながらに思い知らされる。目先の一枚が欲しいあまり中途半端なアタリに手を出してしまうことは誰しも覚えがあるだろう。それをグッと我慢をして強いアタリだけに的を絞ることは言葉で言うほど容易ではない。また時流だからといって安易にバラケを抜いてウキを動かそうとしたり、ひたすらバラケを持たせてシャクリ続ける釣りが注目される昨今、鉄壁の時合いを構築して釣り込む昔 ながらの「王道」と言われるストロングスタイルを貫くことも決して簡単なことではなく、非常に勇気のあることではないだろうか。
「結果を早く求めようとしすぎるのは決して良いことではありませんが、反対にじっくり攻めようとして動かない(放置し過ぎる)のも良くありません。言うなればこのバランス感覚が大事なのであって、多少ウキの動き出しが遅くなったとしても毎投ウキを深くナジませ、まずは狙ったタナにバラケを確実に送り届けることが肝心です。これを徹底して繰り返すことで狙ったタナにへら鮒を呼び込むことができ、やがて安定的に釣り込むことが可能になるのです。そのうえで常にウキの動きを読みながらへら鮒が何を求めているのか、どうすればエサに食いついてくれるのかを考え、それに応えるべくすべての要素を最適なバランスで整えてやれば自ずと良い方向に向かうのではないでしょうか。何よりバラケを深ナジミさせることがくわせエサとのシンクロ精度をアップさせることにつながるので、セット釣りに悩んでいる皆さん、是非『セットアップ』のポテンシャルを信じて思う存分使い込んでみてください。」
 
     

「釣技最前線」その他の記事へ

このページのトップへ