へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第68回 石川 裕治のチョーチン両ダンゴ釣り
稲村順一が徹底レポート 釣技最前線
芯を極めた多角的アプローチに、信玄べらも堪らず食いつく?! 石川 裕治のチョーチン両ダンゴ釣り

ときとして混同されがちだが、こだわりと頑固さはまったく別物である。今回それを再認識させてくれたのは、野釣りでの長竿を駆使したチョーチン両ダンゴ釣りを最も得意とする、マルキユーインストラクター石川裕治だ。釣り幅の広さと奥行きの深さにおいて他に類を見ない石川の釣りは、へら鮒の食いが良いときほどオーソドックスに攻め、食いが渋くなるほどこだわり抜いた孤高のアプローチで釣果を叩き出す。今回は両ダンゴシーズン真っ只中のいま、ありきたりの数釣りではなく、多くのアングラーに難攻不落と称される千代田湖において、アタリを出すことすら難しい難地合いのなかでの釣りをリクエスト。繊細かつ丁寧な対応と、休む間もなくこれでもかと繰り出される多角的なアプローチに、手強い千代田湖の地べらが動き出し、そしてついに口を使い始めた!

ソフト&ライトな芯だけが持つ不思議な誘引力

石川のチョーチン両ダンゴ釣りには、ひとことでは言い表せない奥深さがある。魚影密度の濃淡や食い気の有無に応じて、ボソエサでのパワー系ストロングスタイルから、ヤワネバタッチのダンゴエサを駆使した繊細なアプローチまでマルチにこなす。今回紹介するのは、両ダンゴの釣りでは恐らく最高難度にランクされるであろう千代田湖の地べら釣り。厳ついその姿に戦国時代甲斐の国を治めた武将武田信玄の姿を重ね、畏敬の念を込めて狄玄べら瓩半里気譴詁餽局塒遒領彪臣呂戮蕕相手の釣りである。

「先月までは活発にエサを追っていたが、今月に入ってから徐々に食い気が落ち始めているらしい。舟宿によれば一日20枚前後釣れれば良い方だというから、今日は厳しい釣りになるかもしれないな。でも大型の地べらが多いので、なんとかこの釣りの醍醐味を伝えたいね。」

朝のミーティングの際にこうつぶやいた石川だが、記者としては簡単に決まってしまう数釣りよりも、むしろこうしたシチュエーションの方に興味をそそられる。果たして石川はどんな攻め方で攻略してくれるのだろうか。

「確かに野の釣り場には管理釣り場とは違った難しさがあるね。生息するへら鮒の型や魚影密度の違いによってアタリの出方は変わってくるし、ジャミや外道が多い釣り場ではエサの持たせ方にも工夫が必要になる。ましてや今回のターゲットは難攻不落と言われた信玄べらだから、通り一辺倒の正攻法ではコンスタントに釣ることは難しい。それでも必ず攻略の糸口はあるはずだから、焦らずじっくり攻めてみるつもりだよ。」

地べら化した大型が気難しいのは周知のことだが、取り分け千代田湖の信玄べらを攻略するのは至難の業と言われている。このため釣果を求めるだけであればセット釣りを選択するアングラーが多いなか、攻め方によっては両ダンゴでも十分釣ることは可能だと言う石川。もちろんそれには考え抜かれた綿密な戦略と卓越したテクニックが必要不可欠だが、今回石川はそれを惜しげもなく披露してくれた。

すべてのノウハウを一度に吸収することは困難だが、今回紹介するテクニックのうちのいくつかはすぐにでも手の内に入れられるだろう。そのひとつがエサであり、ポイントはネバリによるエサの狄牒瓩龍化である。それを担うのは添加剤として加えられた「粘力」と、比重と開きをコントロールするためにブレンドされた「カルネバ」なのだが、これにより無理なくソフトでライトなエサに仕上がり、口の肥えた地べらをも惹きつける誘引力を手に入れることができるのだと石川は言いきる。今回はエサ以外にも数々の猗覽鮫瓩鮠匆陲靴討い襪里如大いに両ダンゴ釣りのスキルアップに役立てていただきたい。

使用タックル

タックルセッティングのポイント

■サオ

チョーチン両ダンゴ釣りにおいてはタナが重要だと石川は言う。従って今回もベストのタナを探りながらの釣りになるのかと思いきや、意外にもスタート時の19尺のまま最後まで釣りきって見せた。途中明らかな浅ダナ地合いと分かるようになってもなお、深いタナにこだわったのには訳があり、ここ千代田湖では浅ダナの方が釣れる状況であっても、比較的深めのタナで大型が釣れる傾向があるためだ。今回は数よりも型に重きを置いて欲しいという記者からのリクエストもあり、40枚20kgではなく20枚17〜18kgの釣りを追った結果がこれであり、比較として13尺で実釣したスタッフの方がアタリは多く、幾分釣りやすそうであったことを付け加えておこう。

■ミチイト

ターゲットが大型の地べらであっても無闇に太くせず、ベストの太さは使用するハリスの太さ(0.5号)から逆算し、無理のない範囲で1.0号を基準とする。この太さであればエサを含めた仕掛け全体の動きを干渉し難く、より自然な落下状態をサポートすることができる。

■ハリス

食い渋った地べらに対してはフリーフォール(エサの自然落下状態)を強く意識することが重要で、たとえ大型であってもハリスは太くしないで、上下共に0.5号を基本としている。長さに関してはアプローチによって幅広く探るのが石川流で、今回は最長で上65cm/下85cmから最短で上25cm/下40cmまで状況に応じて使い分けていた。ちなみにハリスの長さはエサへのテンションのかかり方に影響を及ぼすので、ハリスが張り難くアタリが出難いと感じたときは短く、ウキのナジミが早くエサを追いきれていないと感じたときは長くするのが基本。後述するが、さらにオモリ飛ばしやジョイントの使い分けによりハリスの張りまで意識するのが石川流だ。

■ハリ

ハリはサイズ(重さ)によってエサ持ちや沈下速度が変わるので、ウキの動きを見ながら随時変えることが重要だと言う。当日はブルーギル対策として8号でスタートした後、思いのほかブルーギルが大人しいことに加え、肝心の地べらの反応も今ひとつであったことからエサ持ち状態を確認しながら7号→6号とサイズダウン。やがて地べらの動きが活発化し始めると、オモリの位置(飛ばし方)やハリスの長さによって変化するエサのバラケ方や芯持ち具合を見ながら6号〜8号の範囲内でこまめにアジャスト。ときには2〜3投でウキの動きの変化を読み取り、ハリを交換する毎にヒットさせていた時間帯もあったほどである。

■ウキ

直近の釣況から多くは望めないと判断した石川は、まず水中からの情報をキャッチしやすくストローク(エサがナジむ間の動く距離)を生かせる極細タイプのグラスムクトップウキでスタート。動きによって気難しい地べらの興味を惹こうとしたが、意外にもナジミきってからのアタリが多いことから、むしろ動きを止めた方が良いのではと考え、開始から3時間ほど経ったところで太めのパイプトップウキに交換。直後に良い感じで数枚続いて釣れたものの、その後極端にアタリが出難くなったことから、グラスムクトップとパイプトップの特性を併せ持つPCムクトップウキに交換すると再びアタリが復活。これにより徐々にアタリが増えて、やがてエサ・オモリの飛ばし具合・ハリスの長さ・ハリのサイズとトータルバランスが完全に決まると、僅か1時間足らずの間に6枚の大型地べらをヒットさせ、この日のクライマックスを迎えるに至った。

エサ使い
 
 

取材時の実釣の流れ

現在の千代田湖のへら鮒のコンディションでは、やや浅めのタナの方がアタリは多いという状況であり、釣果だけを求めるのであれば、釣況に応じてタナ(竿の長さ)を変えながら釣り進めるという選択肢もあっただろう。だが今回はあえて長めの竿でより型の良い地べらを狙って欲しいという記者のリクエストと、どちらかといえば長竿の方が好きだという石川のこだわりとのマッチングにより終日19尺で通した結果、中盤以降は肉厚の信玄べらが揃い、中にはまだ抱卵したままのキロ級地べらが数枚混じるといった、実にエキサイティングな取材となった。

まず序盤戦は石川本人も「こんなに悪い千代田湖はあまり記憶がない。」というほど低調で、アタリらしいアタリも数えるほどしかなく、あらかじめ釣れても一日20枚前後の釣果ということが分かっていたとはいえ、石川自身気が気ではなかったはずだ。しかし今回の狙いである気難しい大型地べらを狙うには、こうした食い渋った地合いはむしろ願ったり叶ったりで、記者を含め取材クルーは、じっくり腰を据えて最高難度の地べらと対峙する本気モードの石川の釣りを目の当たりにすることができたことは、実に幸運なことではなかったであろうか。

当初の狙いとしては厚くタナに寄せることが困難な地べらに対し、ブレンドパターン△離瀬鵐乾┘気縫哀薀好爛トップウキ+長ハリス(上65cm/下85cm)という組み合わせで、ウキのストロークを生かしたエサを動かしながらのアプローチで攻略することを目指したものの狙い通りに事は運ばず、途中試した短めのハリスでのウキの動きからエサの動きを止めた方が良いのではと判断し、エサはそのままでパイプトップウキ+短バリス(上25〜40cm/下40〜55cm)という組み合わせとし、エサを極力動かさずナジミきってから食わせるアプローチに切り替えた。すると変更直後に連続ヒットを決め「これで行けるのか?」と期待させたのだが、やがて最初のアプローチよりも反応が悪くなったことで、やはりある程度エサの動きと開きがないとコンスタントにアタリを出すことができず、タナにも大型地べらが入ってこないという結論に至った。

そこでブレンドパターン,離瀬鵐乾┘機陛日の決まりエサ)にPCムクトップウキ+長ハリス(上55〜65cm/下70〜85cm)という組み合わせで、ストロークを生かしつつも、ときとしてエサの動きを止めたりしながら、より多角的なアプローチに方向転換したところ明らかにウキの動きが増え、釣れてくる地べらもそれまでよりもワンランクサイズアップしたのである。

このようにアプローチを大別すると以上の3パターンになるのだが、そのいずれのアプローチでも繰り返し頻繁に行われていたのがオモリ飛ばしとハリスの長さ調整、それにハリのサイズ変更であった。取り分けオモリ飛ばしに関しては10投と同じ位置にオモリを止めていることは無く、短いサイクルでは2〜3投毎に数十cm変えることもあったのだが、これらの具体的な使い分けを含めた当日の釣りのキモについては以下の通りだ。

石川流地べら狙いのチョーチン両ダンゴ釣りのキモ 其の一:ソフト&ライトなエサの芯を残すネバリ活用術

両ダンゴの釣りなので主役はもちろんエサなのだが、一般的な数釣りとは対極ともいえる今回の釣りでは、紛れもなくエサの芯持ちがキモになっている。それも単に持てば良いというのではなく、極限まで軟らかく軽いエサの芯をギリギリ持たせることが肝心なのだ。

「数釣りにおいても言えることだが、麩の粒子を練りつぶして出したネバリや経時変化によるネバリは嫌われる傾向が強いね。だからといって粒子の細かいネバる麩材だけだと、集魚性やアピール度の面で劣る嫌いがある。従ってネバる麩材(添加剤を含めて)と開く麩材をバランス良くまとめることが現代両ダンゴ釣りのキモであり、取り分け千代田湖のように一筋縄ではいかない難しさのある釣り場では、そのさじ加減が決め手になるんだ。」

石川が仕上げたエサを手に取ってみると非常にまとまりが良く、軟らかめでありながら大変エサ付けしやすいタッチであることが分かる。何より驚いたのは、ハリに付ける前のエサを水中に投下すると、一旦沈みかけたところで浮き上がってしまうことであった。これはエサの内部に多くのエアーを含んでいる証拠であり、その含有量はエサ付け前の手揉み具合や、エサ付けの際に加える圧加減で自在に変化させることができると言う。

「これこそが『粘力』の成せる技であり、どんなに軟らかく仕上げても十分なネバリによってギリギリタナまで届き、しかもその軽さがナチュラルなエサの動きを増幅するので、警戒心の強い地べらに口を使わせるチャンスが増えるという訳だ。ただしエサの開きは少なくなるので、そうした欠点を補うためにも打ち返しのペースは意識的に早める必要があるし、エサ付けや打ち込み方にも工夫が必要なんだ。」

ちなみにウキの動きが少ないときのエサ付けはハリにチモトだけを押さえたラフ付けで、打ち込みはウキが立つ位置よりもややズラして水中で放物線を描くように落下させ、エサ落ち目盛りから1〜2目盛りナジんだ時点で変化がなければ即打ち返していた。一方でアタリは少ないもののナジミが入らなくなったときには両手の指先を使って丁寧にハリ付けし、ナジミ際にサワリがあったときだけ少し待つようにしていたが、いずれにしてもトップ先端3目盛り出しというセッティングであるため、トップをナジませるというよりもエサ落ち目盛りまでナジむ間に勝負をつけるといった速攻勝負を旨としていた。
「今日は思いのほかブルーギルのアタックが少なかったので、よりタナでの開きが良い『カルネバ』をブレンドしたパターンの方が良い感じで釣れたね。エサのブレンドパターンについてはどれが良いかはやってみなければ分からないので、とにかく試してみることが大切。そうすればエサの特性の違いが分かるし、必ずへら鮒の反応も変わるはずだよ。」

石川流地べら狙いのチョーチン両ダンゴ釣りのキモ 其の二:秘技か裏技か!?大胆なオモリ飛ばしを始めとしたトータルバランスの煮詰め方

オモリの位置を変えたり、一ヶ所にまとめてあるものを分散させたりする、いわゆる「オモリ飛ばし」は多くのアングラーが知るテクニックだが、石川のそれはいささか変わっているので紹介しておこう。通常オモリはジョイント部分に一ヶ所にまとめた状態でスタートし、へら鮒の反応が悪いときにオモリの位置をヨリモドシから離したり、2個以上に分けてあるオモリであれば一定間隔離して分散させたりするのが一般的である。これはエサ(仕掛けを含めて)の水中落下速度を遅くしたり、落下中の軌道を変えることで反応の鈍いへら鮒に刺激を与えることが目的なのだが、石川はこの日の1投目からいきなりオモリを30cmほどジョイントから飛ばしてスタート。その後も頻繁にオモリの位置を変化させ、この日は最大1m近く飛ばしたのだが、こうしたことから単にへら鮒の興味を惹こうとしての対策ではなく、他の狙いが隠されているのは明らかであった。事実オモリを飛ばすことで変わるのは単にエサの落下速度だけではない。もちろんそれによって反応するへら鮒は居るが、むしろ石川の狙いはエサのバラケ方や持ち具合のコントロールに重きを置いている。おそらく多くのアングラーがエサのバラケ方や持ち具合はエサのブレンドやタッチの調整で行うものだと思っているだろう。決してそれは間違いではないが、仮に食うエサが分かっているときにエサ持ちが悪くなった場合、持たせようとしてエサをいじってしまうとアタリが出なくなってしまうといった微妙な地合いのときにはどうしたらいいだろう?そんなとき石川はオモリの位置をこまめに調整し、エサをいじることなくバラケ方や持ち具合をアジャストしているのだ。よって不安定な地合いが続くときには数投おきに数十cmずつオモリを移動させ、その都度アタリに結びつけていたのが印象的であった。

さらに石川はこの日使用した19尺用として、実に3タイプの仕掛けの用意があることを明かしてくれた。これも単なるスペア的な意味合いのものではなく、明らかに狙いの違いが含まれたものであった。その違いとはハリスの張り方に密接に関係すると言い、その違いを見るとジョイントに使われているパーツが異なることに気がついた。ちなみにこの日初めに使ったものには極小タイプの丸カン(サルカン)が使われており、パイプトップウキに交換した際には小型のスイベル(シングルタイプのヨリモドシ)が。最後にPCムクトップウキに交換した際には大きめのダルマ型スイベル(ダブルタイプのヨリモドシ)が使われていた。勘の良い読者諸兄はもうお分かりのことと思うが、石川はこのジョイントの重さの違いによってハリスの張りをコントロールしていたのである。つまり同じ長さのハリスであっても、オモリを飛ばした状態のジョイントの違いで張り方に違いが生じ、アタリの出方に影響を与えるという訳だ。これは長いハリスではアタリは出るがヒットしない、詰めればアタリが出難くなるといった難地合い攻略に大きな武器となることは間違いない。

加えてエサ持ちに関連する要素としてハリの大きさが挙げられる。タックルの項でも述べたが、エサが持たないときにはサイズアップし、沈下速度が早過ぎて反応しきれなくなっていると判断したときはサイズダウンをさせていた。もちろんエサ持ちはハリのサイズだけではなく、前述のオモリ飛ばしやハリスの長さ、さらにはウキやジョイントの種類(重さ)によっても変わるので、すべてのタックルをこまめに変化させながらアジャストしていくのが石川流のトータルバランスの煮詰め方であり、地べら攻略の根幹なのである。

石川流地べら狙いのチョーチン両ダンゴ釣りのキモ 其の三:エサ落ち目盛りとアタリの取り方

特異というべきか異質というべきか。明らかに特徴的なのが、トップ先端3目盛り出しというエサ落ち目盛りの決め方であろう。これはこの日交換した3タイプのウキすべてに共通するもので、難地合いを攻略するうえでなくてはならないセッティングだと石川は言う。
「エサ落ち目盛りをトップ先端近くにするのは、持つか持たないかの軟らかくて軽いエサをタナまで持たせやすくするためであると同時に、アタリどころ(食うタイミング)を絞り込みやすいというメリットもある。またトップが沈没するほどナジむようならすぐに打ち返さなければならず、エサ打ちのリズムが遅くならないようにする効果もあるんだ。」
通常チョーチン両ダンゴ釣りでは、エサ落ち目盛りはトップの付け根3目盛り程度を沈めた位置に決めるのが一般的で、ナジミ始めたウキがエサ落ち目盛りを通過する前後からナジミ切るまでにアタリが出るように組み立てる。つまり石川のエサ落ち目盛りの決め方では、ヒットゾーンは僅かに3目盛りだけということになってしまうのだが…

「オモリを飛ばす位置によって多少上下するが、僕のイメージとしてはトップの付け根3目盛りくらいのところでオモリがナジミきり、そこからジョイントに引っ張られるようにハリスが張って、やがてエサ落ち目盛り近くになってエサの重さ(ハリの重さも含む)がトップに表れると思っているので、言ってみれば僕にとってのヒットゾーンはウキが立った直後からナジミきるまで、そのすべてと言っても過言じゃない。その中でもエサ落ち目盛り付近で出るアタリがタナ的にはベストなんだが、たとえ早いタイミングでもへら鮒の状態が良いときは、僅かな止めや小さな上げアタリで乗って来るので、そうしたアタリも積極的にアワせていくんだ。」

この言葉通り、アタリのパターンは実に多岐に渡り、むしろナジミきったと思われるタイミングで出る大きなアタリはスレやカラツンの確率が高かった。食いが悪いときほどこうした傾向になりがちで、反面食いが良いときはナジミ際のエサが動いている間に出る小さな動きで乗ることが多いと石川は言う。この日は石川自身あまり経験したことがないくらい食いが悪かったというが、そんな状況下にあってもなお、理詰めでブレることのないこまめなアジャスティングにより徐々にアタリを増やし、終わってみれば20枚超の大型地べらを仕留めた釣りは、数釣りとはまた違った面白さを見せつけてくれた取材であった。

石川裕治流チョーチン両ダンゴ釣り 基本アタリパターン

石川裕治流チョーチン両ダンゴ釣り 水中イメージ

総括

今回の取材では、改めてチョーチン両ダンゴ釣りの奥深さと、スタンダードな攻め方とは違った新たな創意工夫が入り込める余地のある釣り方であることを再認識させられた。
「まだ若かった頃、へら鮒釣りを極めたかったら千代田湖や西湖、三島湖といった難易度の高い大型べらを相手にすることだと言われ、良く通ったものなんだ。今でもその気持ちは変わっていないが、年々変わるへら鮒のコンディションやサイズ、型といった変化が釣りそのものを変えてしまうので、常に通って竿を出すことが一番の勉強になると思っている。へら鮒釣りには色々な楽しみ方があるが、あえて難しい釣りにチャレンジするのもそのひとつ。そうしたなかで釣果を出すには色々とアイデアが必要だし、釣るための工夫は無くてはならない要素じゃないかな。」

エサを打ち込めばオートマチックにアタリが出て釣れ続ける魚影の濃い管理釣り場よりも、ポイント選びから始まり、寄せることと釣り込むことの両方を求められる野釣りの方が明らかに難易度は高く、ましてや放流べらではなく地べら化した大型のへら鮒を狙って仕留める釣りに至っては、それに特化したテクニックが必要不可欠であることは容易に理解できる。取材中、石川がしきりに口にしていたのは、こうした難しくも攻略しがいのある野釣り場が年々少なくなっていることに、残念であると同時に大きな危機感を抱いているということであった。事実釣り場の減少には歯止めがかからず、残された野釣り場も釣り人の姿は疎らである。しかし逆の見方をすれば今回のような大型地べらばかりが揃う釣りは今だからできる釣りでもあり、石川の釣りを参考にしていただき、ひとりでも多くのアングラーに自然の中でのダイナミックな釣趣を是非味わっていただきたいと切に願う。

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