稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第86回 名手、西田一知も驚く新感覚ダンゴエサ その名も「グルテンダンゴ」GD|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第86回 名手、西田一知も驚く新感覚ダンゴエサ その名も「グルテンダンゴ」GD

他の追従を許さず、独自の釣技で釣りまくる名手の技を紐解く「釣技最前線」。昨年登場頂いたマルキユーインストラクター西田一知のチョーチン両ダンゴ釣りはまだ記憶に新しいところだろう。扱い難いとされるボソタッチのエサをナジミ際にへら鮒に削らせて食い頃にするという、その独特のアプローチはまさに孤高のテクニックだが、その西田をして「僕の釣り方が変わるかもしれない。」と言わしめる新エサが登場した。その名は「グルテンダンゴ」、通称GD(ジーディー、以下「GD」)。5月下旬の発売に向けた最終調整のさなか、新エサの開発に携わった西田インストラクターに再登場願い、そのポテンシャルを実釣で披露してもらおうというのが今回の趣向だ。取材フィールドは埼玉県本庄市児玉町の山間部に佇む間瀬湖。湖面を吹き渡る風はまだ冷たくダンゴエサの本格シーズンには些か早いと思われたが、間瀬湖のへら鮒は新エサの持つ魅惑の〝膨らみ〟に歓迎のアタリで応えてくれた!

へらアングラーが求める理想の「膨らみ」を手にする日がついに来た!

盛期におけるへら鮒釣りの基本ともいわれる両ダンゴの釣りだが、近年その難易度は高まりつつあり、比較的アタリを出しやすいセット釣りに走るアングラーも少なくない。確かにたくさん釣れるに越したことはないが、エサ合わせの妙を楽しむという側面があるへら鮒釣りにおいて、できるだけ簡単にエサ合わせが楽しめる麩材を提供することは、エサメーカーがチャレンジし続けなければならない使命であることはいうまでもない。奇しくも現在の両ダンゴの釣りの難しさを、昨年夏の「釣技最前線」の取材における横山天水マルキユーチーフインストラクターの言葉が的確に言い表していた。要約すると「へら鮒を寄せようとしてボソッ気を強めると表層のへら鮒が騒ぎ、それを抑えようとしてヤワネバの方向へと調整していくと途端にエサ持ちが悪くなる。そこで今度はエサ持ちを強化しようとネバリを強めると、良いアタリがことごとくカラツンになる。この悪循環を打破するのに必要な要素は、表層に寄ったへら鮒の層を突破できるだけのまとまり感があり、タナに入ったところで食い頃に〝膨らむ〟エサが必要だ!」とあったのだ。そのとき横山は既存の麩エサのラインナップのなかからグルテンが含まれた「グルバラ」の〝持って膨らむ〟という個性的な特性を生かし、見事難時合いを攻略してみせたのだが、似たようなケースは現在の両ダンゴの釣りでも頻繁に遭遇することから、今後のエサ合わせの方向性を示唆する好事例といえるものではないだろうか。こうした折の新エサ「GD」の登場は実にタイムリーといえるだろう。すなわち新エサの特徴はズバリ〝膨らみ〟。それもあらゆる時合いに適応できるよう軽さとまとまり感を増した、従来製品には無かったまったく新しい感覚の麩エサの登場となったのである。

「両ダンゴの釣りで釣れない要因の多くは、やはりエサ持ちの悪さではないでしょうか。苦労して食うエサができたにも関わらず、次第に寄りを増すへら鮒によってそのエサが持たなくなり、やがてアタリを喪失してしまうというケースが最も多く、皆さん大変苦労されているようです。もっともエサを持たせるだけなら硬さやネバリ、さらには重さを加えることによってタナまで持たせることは可能ですが、そのようなエサではへら鮒にソッポを向かれることは明らかで、アタリを出せないで終わるか、カラツン地獄から永久に抜け出せないか、その結果は火を見るよりも明らかです。そこでこうした現状から抜け出すために開発されたのが『GD』なのです。」

ボソタッチのエサを使わせれば右に出るものはいないといわれるほど、卓越した両ダンゴのエサ合わせテクニックを持つ西田。その基本スタイルは意図的にへら鮒にエサを削らせ(揉ませ)、タナに到達した時点で丁度食い頃になるようにエサのタッチやサイズをコントロールするというものだが、こうした釣技を持たないアングラーに対し、西田のそれとは異なるアプローチではあるが狙ったタナに確実に集魚し、ベストのタイミングで膨らむことでへら鮒の摂餌欲求を刺激することができる「GD」。今回は、そんな新エサのポテンシャルを西田自身の実釣におけるウキの動きでご覧頂こう。

使用タックル

●サオ
シマノ 特作「天道」11尺

●ミチイト
オーナーばり 『ザイトへら道糸フラッシュブルー』1.0号

●ハリス
オーナーばり 『ザイトへらハリス』0.5号 上55cm、下70cm

●ハリ
オーナーばり 上下『バラサ』 7号 ※本格シーズンイン後は『リグル』8号

●ウキ
忠相『S Position MIDDLE』-No.10
【PCムクトップ185mm /一本取り羽根ボディ105mm/竹足60mm/ オモリ負荷量≒1.4g/エサ落ち目盛り=全11目盛り中9目盛り出し】 ※本格シーズンイン後は忠相『ツアースペック F』-No.9

●ウキゴム
忠相 Foot Fit (S)パープル

●ウキ止め
忠相Dual Hold(M)

●オモリ
フィッシュリーグ絡み止めスイッチシンカー0.8g+0.3mm厚板オモリ

●ジョイント
オーナーばり『ダブルクレンヨリモドシ』22号

新エサ「グルテンダンゴ」(GD)の特徴&使い方のキモ 其の一:グルテンが麩を包み、落下途中のバラケを抑えタナまでエサを持たせる

落下途中のバラケを抑えることはエサを狙ったタナまで持たせることと同時に、そのタナよりも上層に集まるターゲット外となる無駄なへら鮒の寄りを極力抑えることにつながる。しかし従来のエサだけでそれを果たそうとすると、どうしてもタナでの寄り不足やエサの持ち過ぎになってしまうことが多かった。従ってここで必要になるのは落下途中ではバラけずにタナに入るところでバラけること。それも単にバラけるのではなく、アタリを出すため軟らかく食い頃のサイズにエサの芯が残ることが絶対条件。「GD」はこの難しい条件を、グルテンを配合することで見事にクリアー。グルテンが麩を包むことで無駄なバラケを抑え、確実にタナまで持つエサに仕上がっている。

「現在の両ダンゴの釣りで一番の問題になるのが、エサを打ち込んだ着水ポイントに群がる大量のへら鮒です。当然のことながらこれらはターゲットではなく、折角タナに寄っているへら鮒に合ったエサができても、そこまで到達する前にハリから叩き落としてしまう、むしろ邪魔な存在なのです。これまではこうした分厚いへら鮒の層を突破させるのにネバリを増したり、エサ付けのサイズを大きくしたりしていました。しかし、これで釣れるのであれば良いのですが、大抵は肝心のタナでエサが持ち過ぎてスルーされたり、アタッてもカラツンになってします。だったらどうすれば良いの?という話になりますが、それを可能にしたのがグルテンの〝まとまり感〟と〝膨らみ〟という特性なのです。もちろんダンゴエサですから、一般的なグルテンエサのように繊維が絡むようなことはありません。『GD』は単品で使うエサではなく、あくまでブレンドに加えることで真価を発揮する脇役です。基本ブレンドパターンで作ったエサを触れば分かりますが、今までのダンゴエサには無かったまったく新しいタッチの仕上がりに驚くでしょう。似たような特性のエサに『グルバラ』がありますが、それよりも軽くエサ持ちが強化された感じとでもいえばよいでしょうか。とにかくしっかりウキがナジむエサですよ。」

動画をご覧になって頂ければ一目瞭然だが、エサボウルのなかのエサを指先で摘まみ取り、軽くまとめてチモトをキュッと押えただけの、西田流のラフなエサ付けでもトップ先端近くまで深々とナジミ込む映像がすべてを物語っており、へら鮒が寄って釣れ始まってからも僅かに手水でシットリさせた程度の調整だけで釣り込む様子が「GD」のポテンシャルの高さを如実に表していよう。

新エサ「グルテンダンゴ」(GD)の特徴&使い方のキモ 其の二:ブレンドでエサが軽く仕上がり、タナで膨らんでへら鮒を誘い食わせる

現代両ダンゴの釣りではエサの重さが釣果を左右する重要なファクターとなるケースが多々あり、多くの場合軽めのタッチに仕上げた方がアタリは多く釣果も伸びる傾向がみられる。もちろん重いエサが良いときもあれば、常に重めのエサを巧みに扱い釣果を伸ばしているアングラーも少なくないが、理論的にはより動きがナチュラルになる比重の軽いエサの方が反応は良いはず。そこで新エサの開発時にはこのエサの軽さにも着目し、グルテンの特性による単なる持ちの良いエサというだけではなく、他の麩材とブレンドした際に粒子の密着を軽減してエアーをかみやすくしている。

「エサ持ちの良さについては先に述べた通りですが、『GD』の本当の凄さはナジミきってからの〝膨らみ〟にあるのです。なぜならナジませるだけであれば増粘剤によるネバリや重い麩材を使った比重の大きさでも十分可能ですが、そうした特性のエサは総じて膨らみが遅く(仕上がりによってはほとんど芯が膨らまない)、へら鮒の興味を惹きつけアタリを出して食わせるのが難しいのです。このためネバリの強いエサや重いエサは、エサをナジませてタナを安定させるための一時的な訂正エサとしての機能にとどめ、食うタッチのエサが再びナジむようになった時点で元に戻すという組み立て方が求められていたのです。しかし『GD』をブレンドしたエサであれば確実に持ってタナで膨らむので、そうした使い分けの必要はありません。しかも今回紹介させて頂いた『カルネバ』を加えたブレンドパターンであれば、さらにその効果も加わりソフトな芯が確実にハリに残るので、ナジミ際にスルーされたエサでもタナで膨らみ、へら鮒を誘い食わせることができるのです。つまり従来であればエサの動きが止まってアタリが出ない〝勝負あり〟のタイミングからでも、グルテン特有のタナでの〝膨らみ〟がへら鮒の摂餌欲求を刺激し続けるので、いわば二段備え、二枚腰といった大きな付加価値を我々アングラーは手にすることができるのです。」

新エサ「グルテンダンゴ」(GD)の特徴&使い方のキモ 其の三:膨らむことでエサの芯が柔らかくなり、カラツンが減少する

両ダンゴの釣りにおいてアタリを出すうえで最も大切なことは、狙ったタナまでエサを持たせることである。このことは多くのアングラーの知るところだが、そのアタリをカラツンではなくヒットに結びつけるためには食い頃のエサ、すなわち食いやすいサイズで口当たりの良いソフトタッチのエサを供給することが求められる。繰り返しになるが、盛期の両ダンゴ釣りでの最大の問題点はエサ持ちが悪くなって、それまで釣れていた(食っていた)エサがタナに入らなくなること。さらにそれを解消しようとしてエサをネバらせたり重くしたりすることで陥る〝カラツン地獄〟から抜け出せなくなってしまうことであろう。

「こうした問題点をクリアーするためには、カラツンになりにくい食いやすいタッチのエサを確実にタナまで持たせれば良いわけですが、従来製品ではどうしても持つエサと食うエサのギャップが大き過ぎて、そのコントロールに皆さん大変悩んでいたようです。実際タナで食い頃になるエサを逆算してエサボウルのなかで仕上げることは至難の業で、両ダンゴの釣りに慣れたアングラーでも苦労するところでした。『GD』はそんな悩みを解消してくれる〝膨らみ〟という優れた特性を持つエサです。極限まで開き(エサの表面のバラケ性)を抑えながら深くナジみ、タナに届いたところで確実に膨らむことで自然に柔らかな芯が生み出されるので、今までカラツンを出していたへら鮒も堪らず食いついて離さないと思いますよ(笑)。」

この特徴については西田の実釣動画のなかでも分かるシーンが数多く見られた。従来の彼のアプローチでは上層からへら鮒にエサ玉を削らせて食い頃にするため、エサがナジミきったら(エサの動きが止まったら)ほぼ勝負は終わりという感じだが、この日の釣りではナジミきったウキが戻し始めてからのアタリでヒットするケースが多く、西田はこのタイミングで「ここでエサが膨らみ始めるころ」と解説し、その直後に強いアタリを連発させて高ヒット率で釣り込んで見せてくれた。

総括

この日、初めて新エサ「GD」のポテンシャルを目の当たりにした記者であるが、西田の実釣を通し従来製品では見たこともないような固有の特性を確認することができた。そして分かったことは、「GD」の登場が今期の両ダンゴシーンを大きく変えるであろうということ。そしてそれは今後長きに渡り、両ダンゴ釣りのスタンダードになるであろうということ。しかし、あくまで「GD」はバイプレーヤーである。「バラケマッハ」や「凄麩」といった主役の個性を引きだし、さらに高めるために無くてはならない存在である。発売は5月下旬の予定だが、次回「釣技最前線』」もまたこれに合わせ、さらに掘り下げた使い方について紹介しよう。